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稲見萌寧はなぜ22歳で“賞金女王”になれた? 上田桃子を思い出すギラギラとした向上心「最強のプロゴルファーになれるように」
posted2021/11/30 11:02
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Yoshimasa Nakano/Getty Images
稲見萌寧の強さは一体どこから来るのか――。彼女が勝つたびにそんなことを考えていた。
2020年と21年が統合された今季の国内女子ツアーは、52試合の全日程を無事に終えた。終盤戦の見どころは、やはり賞金女王争いだった。最終戦の「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」では、賞金ランキング1位の稲見と同2位の古江彩佳の一騎打ちとなった。
稲見が逃げ切るか、古江が逆転するかの争いは、ゴルフファンを大いに楽しませてくれたが、当の本人たちには相当な重圧だったに違いない。
最低でもこの試合で2位以上が逆転条件となっていた古江だが、最終的に6アンダーの3位タイに終わり、稲見が初の賞金女王のタイトルを獲得した。
22歳122日での賞金女王は2007年上田桃子の21歳156日に次ぐ、歴代2番目の記録。それに不動裕理が2003年に達成したツアー新記録の年間10勝には届かなったが、稲見の今季9勝も十分誇れるものだ。稲見に次いで2番目に多い勝利数が、古江の6勝だったことを考えると“横綱ゴルフ”だったと言っていいだろう。
最後までやり切った「完」
稲見は今年のゴルフを漢字一文字で表すと何になるかと問われると「完」と答えていた。その理由について「完結もありますし、自分が最後までやり切ったという感じが強いのもあります。今年初めて自分の目標を何個もクリアできたので、よく出来ましたっていう感じでこの漢字一文字に決めました」と笑顔を見せる。
東京五輪で銀メダルを獲得し、メジャーも制覇し、苦労の末にたどり着いた賞金女王という最高の結果に「自分の中では100点だと思います」と喜びを隠さなかった。終わり良ければすべて良し、だ。
しかし、すべてがうまくいっていたわけではない。どちらかと言えば、トラブル続きのなかでどうにか気持ちを立て直し、たどり着いた初の女王戴冠だったと思う。
そんな心境を吐露したコメントがある。