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フィギュア中継で“最も難しいこと”は? 人気解説者・鈴木明子が明かす本音「喋りすぎはNG」「“表現”の解説が少ない理由は…」
posted2021/12/23 06:00
text by
鈴木明子Akiko Suzuki
photograph by
Kiichi Matsumoto
いよいよ12月23日に全日本選手権が開幕となるフィギュアスケート。来年2月には北京オリンピックが控える大きなシーズン、多くの視聴者がテレビ中継を見るはずだ。
「難しすぎて、誰が勝ったのか分からない……」
注目が高まる一方で、「氷上の芸術」ともいわれ、複雑な採点基準をもつフィギュアスケートならではの“中継の分かりづらさ”を指摘する声もある。
日本代表として10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪に出場し、引退後は解説者としても活躍する鈴木明子さんに、フィギュア解説の難しさ、そして五輪シーズンのフィギュア中継を視聴者はどのように楽しめばいいのかを聞いた。
「難しすぎて、誰が勝ったのか分からない……」
注目が高まる一方で、「氷上の芸術」ともいわれ、複雑な採点基準をもつフィギュアスケートならではの“中継の分かりづらさ”を指摘する声もある。
日本代表として10年バンクーバー五輪、14年ソチ五輪に出場し、引退後は解説者としても活躍する鈴木明子さんに、フィギュア解説の難しさ、そして五輪シーズンのフィギュア中継を視聴者はどのように楽しめばいいのかを聞いた。
◆◆◆
私は現役時代から、「引退後は解説者に」とイメージしていたわけではありませんでした。しかし、お声がけをいただくようになって、改めてこうして解説を務めることが増えると、選手と解説者の仕事は“全く違う”ことだと痛感するようになりました。
ただ、自分が経験していたからこそ、例えば「ここでミスが起こったのはなぜなのか」という推論を立てやすい部分はあると思います。それはあくまで私の経験から想像できることであって、必ずしもすべての選手のメンタル面や技術的な細部を完全に網羅できているわけではありません。しかし、“寄り添える部分”はあるのではないかと思いながらやっています。
「喋りすぎてはいけない」葛藤
実は、フィギュアスケート解説の最も難しいところは、「喋りすぎてはいけない」というところだと感じています。フィギュアスケートという競技は、音楽とともにあるものですよね。例えばフリーの演技だったら4分間。決められた時間内で行われる演技に、必要以上の情報が入りすぎてはいけない。音楽も含めて選手が表現したいものなので、余計な声が入ってしまうと選手たちに申し訳ないなという思いがあります。だから演技の邪魔はしたくないけれど、仕事上、解説をしなければいけないわけで、実はここが一番葛藤しているところですね。演技中には次々と技や見せ場がやってくるので、長々と喋らずに、短く、分かりやすく話すように心がけています。