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「世界でも通用するのでは」新ダート王者・テーオーケインズが見せた“6馬身差の圧勝劇”…一方ソダシの敗因は?《チャンピオンズC》
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/12/06 11:45
松山弘平とのコンビでチャンピオンズCを制したテーオーケインズ
「スタートをしっかり出てくれたことによって、道中は理想的な位置で、リズムよく運ぶことができました」
そう振り返った松山の感覚としては、折り合いを欠いていたというより、抑え切れないほどの活力があった、というところか。
ソダシが先頭のまま直線へ。しかし、外からインティに被せられるようになって、苦しくなったのか、馬群に呑み込まれていく。
直線入口でインティの真後ろにつけていたテーオーケインズを、松山は外に持ち出した。その際、少し他馬と接触するような局面があったが、松山が軽く仕掛けると一気に加速。ラスト200m手前で並ぶ間もなくインティを抜き去り、独走態勢に入った。
先頭に立ってから松山が左ステッキを一発入れたのは、叱咤する意味ではなく、内に切れ込んだのを修正するためだろう。
最後の5、6完歩は流すようにして、2着を6馬身突き放してゴールした。
テーオーケインズが見せた“6馬身差の圧勝劇”
「強かったです。4コーナーを回るときにはすごい手応えで、申し分なかったです。前走でゲートを上手く出られず残念な結果に終わり、こうして強い姿を見せることができてよかったです」
そう話した松山にとって、これがJRA・GI通算5勝目。高柳調教師にとっては初めてのGI勝利となった。
テーオーケインズは通算15戦8勝、うち地方で3戦1勝。勝つときは圧勝というのがこの馬のスタイルで、全8勝のうち、2勝目の1勝クラスこそ首差だったが、初勝利となった未勝利戦は4馬身差、3勝目の2勝クラスも4馬身差、摩耶ステークスは2馬身差、名古屋城ステークスは3馬身差、アンタレスステークスは1馬身3/4差、帝王賞は3馬身差。このチャンピオンズカップだって、最後に手綱を緩めなければ、前身のジャパンカップダート時代の2001年にクロフネが記録したレース史上最大着差の7馬身差を更新していたかもしれない。
ちぎらずにはいられない。勝つときはついちぎってしまう。それがこの新ダート王者の走りなのだ。
今回見せた強さからして、しばらくこの馬の天下がつづきそうだ。
この馬なら、来年以降、ドバイワールドカップやブリーダーズカップクラシックといった世界のダート王決定戦でも楽しませてくれるのではないか。夢が膨らむ。