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《三冠馬のラストラン》ディープとオルフェは有終の美、ブライアンはまさかの結末…JCでターフを去るコントレイルの運命は?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byJIJI PRESS、BUNGEISHUNJU
posted2021/11/26 17:04
昨年の菊花賞を制して“無敗の三冠馬”となったコントレイルだが、その後は2着、3着、2着と未勝利。偉大な父・ディープインパクトと同様に引退の花道を飾ることができるだろうか
種牡馬として、初年度産駒からラッキーライラック、エポカドーロといったGIホースを出し、2年目の産駒のマルシュロレーヌが今年のブリーダーズカップディスタフを制するなど、スケールの大きな活躍を見せている。
「10年に1頭」の馬がこのまま終わるとは思えない
さて、日本のクラシック三冠競走は、1932(昭和7)年に日本ダービー、1938年に菊花賞、そして1939年に皐月賞という順で創設された。つまり、一年のうちに三冠競走が行われるようになったのは1939年からで、戦争による中止などを経て、1947年からまた三冠が揃って開催されるようになった。
これまで三冠競走がセットで行われたのは今年を含めて80年。その80年で登場した三冠馬は、1941年セントライト、1964年シンザン、1983年ミスターシービー、1984年シンボリルドルフ、1994年ナリタブライアン、2005年ディープインパクト、2011年オルフェーヴル、そして2020年コントレイルの8頭。10年に1頭の割合で出現しているわけだ。
意外と多いと感じる人もいるかもしれないが、1頭目のセントライトから2頭目のシンザンまでは23年、シンザンから3頭目のミスターシービーまでは19年も間があいている。
日本の三冠は、コースも距離も異なる3つの舞台で、しかも、ダービーから菊花賞まで夏を挟むので、コンディションを保つのがきわめて難しい。三冠馬というのは簡単に現れるものではなく、「10年に1頭も見られてラッキー」と受け止めるべきだろう。
その1頭で、しかも、シンボリルドルフとディープインパクトに次ぐ史上3頭目の無敗の三冠馬となったコントレイルが、このまま終わるとは思えないし、思いたくない。
先述したナリタブライアンは、競走馬としても種牡馬としてもハッピーエンドではなかった。が、同じ母系(従兄弟)のキズナが2013年のダービーを勝つなど、その血は、時代を越えた力を有していたことが証明された。
やはり、三冠馬は特別なのだ。
セントライトは菊花賞を最後に引退したが、シンザンは4歳時に宝塚記念、天皇賞・秋、有馬記念、ミスターシービーは天皇賞・秋、シンボリルドルフは3歳時に有馬記念、4歳時に天皇賞・春、ジャパンカップ、有馬記念とGI(級)レースを勝っている。
三冠馬だから勝って当然とも言えるが、それだけの力があるからこそ三冠馬になることができたと見るべきではないか。
コントレイルがどんな引き際を見せるか。11月28日の東京競馬場で、答えが出る。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。