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「逃げのパスが目立つ」「南米の中堅国以下」ブラジル人記者がアジア予選に超辛口批評… 日本代表に感じる《3つの疑問》とは 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2021/11/11 17:02

「逃げのパスが目立つ」「南米の中堅国以下」ブラジル人記者がアジア予選に超辛口批評… 日本代表に感じる《3つの疑問》とは<Number Web> photograph by AP/AFLO

サウジアラビアvs日本について、ブラジルのジャーナリストに聞くと結果だけではなく内容でも酷評だった

 攻撃に関しては、名将ペップ・グアルディオラ(マンチェスター・シティ)も「自分の仕事は、チームがゴール前までボールを運ぶところまで。そこから先は選手たちの仕事」という意味のことを語っている。

 両方の試合でFWが決定機を外した場面があったが、世界一の監督であろうと、選手の代わりにシュートをすることはできない。優れた選手を育てるのは、代表監督ではなく育成年代の指導者の仕事だ。

 世界には、戦術面で森保監督より優れた監督は一定数いるだろう。しかし、世界トップの監督は、彼と彼のスタッフを合わせると、年間、数十億円以上の経費がかかる。

身も蓋もないが“日本を率いる”ことにステイタスは……

 また、これを言ったら身も蓋もないが、10月21日時点でFIFAランキング28位の日本代表を率いることを自身のキャリアのステップアップと考えるような監督は、そもそも世界トップではない。

 となると、今後、監督を交代させるとしても、現実的には以下のいずれかとなりそうだ。

1)海外の一流半から二流クラスで、現在、所属クラブがない監督
2)Jクラブの監督を務めた経験がある日本在住の外国人監督
3)別の日本人監督

 監督交代は、短期的には効果を生むことがある。しかし、中長期的な視野で日本のフットボールの強化を考えた場合、もっと重要なことがあるのではないか。

「目標はW杯ベスト8以上」の現状認識は正しいのか?

(疑問2)「日本はW杯に出場して当然。目指すのはベスト8以上」という現状認識は正しいか?

 1998年以降、日本は6大会連続でW杯に出場している。これは、アジアでは日本と韓国(9大会連続)だけが成し遂げている偉業だ。なおかつ、日本はその半分にあたる3大会でベスト16入りを達成しているアジア唯一の国だ。であれば、「次の目標はベスト8以上」と考えるのは自然なことかもしれない。

 しかし、実はFIFAが各大陸に割り当てている出場枠は実力を正しく反映しておらず、アジアには“不当”に多い出場枠が与えられており、日本もその恩恵を受けている――としたらどうか。

 また、32カ国が4チームずつ8組に分かれてGSを戦う現在の形式で、ベスト8に入るにはGSを3戦全勝なり2勝1分けの成績で首位で勝ち上がることを目指すのが自然だ。現在の日本にそこまでの実力があるのか。これまでのようにGSを四苦八苦しながら2位で通過するのが現実的ではないか。

 実際、2018年大会では、3戦目でポーランドに0-1でリードされていながら、時間稼ぎをしてそのまま試合を終え、反則ポイントの差でセネガルを上回って2位に滑り込むという“離れ業”を演じた事実もある。

【次ページ】 「優れた選手が大勢いる」は正しい認識なのか?

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