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「逃げのパスが目立つ」「南米の中堅国以下」ブラジル人記者がアジア予選に超辛口批評… 日本代表に感じる《3つの疑問》とは 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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posted2021/11/11 17:02

「逃げのパスが目立つ」「南米の中堅国以下」ブラジル人記者がアジア予選に超辛口批評… 日本代表に感じる《3つの疑問》とは<Number Web> photograph by AP/AFLO

サウジアラビアvs日本について、ブラジルのジャーナリストに聞くと結果だけではなく内容でも酷評だった

「個人能力が低い」「逃げのパス」「南米の中堅国以下」

「アジア最終予選のレベルは、南米予選とはかなりの差があると感じた」

「一部の選手を除いて、両チームとも個人能力が低い。テクニック、フィジカル、状況判断、球際の強さ、攻守の切り替えのスピード、アイディア、戦術眼のすべての点で、南米や世界のトップとは相当な差がある」

「プレーの積極性も欠けている。アタッカーがボールを受けても、単独で、あるいは味方とワンツーパスなどを仕掛けて突破を目指す姿勢が薄い。ディフェンダーも、組織として守ろうとする気持ちが強過ぎるのか、強引に相手ボールを奪い取ろうとする選手が少ない。ボールを受けるとすぐに横や後ろへ“逃げのパス”を出す選手も目についた」

「チーム戦術に関しても、特に見るべきものはなかった」

「両国のレベル? 南米の中堅国以下なのは確かだろう。(下位の)ボリビア、ベネズエラにも勝てるかどうか……」

監督を代えれば好転するという論調に違和感が

 サウジアラビア戦後、多くの日本のメディアとファンが森保一監督の采配と失点につながるミスをしたMF柴崎岳を厳しく批判した。そのこと自体は、もちろん理解できる。しかし、監督を代えさえすればすべてが好転するような論調には違和感を覚えた。

 2018年W杯の直前に監督を交代させ、結果的にグループステージ(GS)を突破できたので、また“小手先の魔術”を使って、当座の結果を出したいのだろうか。しかし、日本、そしてアジアのフットボールは、選手起用、戦術変更といった程度の手直しでは解決できない根本的な問題を抱えているのではないか。

 それ以前に、メディアとファンの大半が「日本はW杯に出場して当然」と捉えているようだが、この認識は正しいのか。「これだけ優れた選手がいるのに、監督が無能なので使い切れていない」と考える人が多いようだが、本当にそうなのか……。

 ここで、3つの疑問点が思い浮かぶ。

(疑問1)監督を代えたら、日本代表が抱える諸問題は解決できる?

 近代フットボールにおいて、監督の役割は非常に重要だ。とりわけ、守備においては監督が起用する選手、採用するフォーメーションと戦術によってかなりの違いが出る。サウジアラビア戦、オーストラリア戦では、守備戦術が徹底されていない部分が見受けられた。その一方で、個々の選手の判断の誤りや技術的なミスによってピンチを招いた場面も少なくなかった。

【次ページ】 身も蓋もないが“日本を率いる”ことにステイタスは……

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