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シェフチェンコは本物、フリットはレプリカ、ジダンはなし…ビッグクラブのミュージアムに見る《バロンドールの価値》とは? 

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posted2021/11/11 17:00

シェフチェンコは本物、フリットはレプリカ、ジダンはなし…ビッグクラブのミュージアムに見る《バロンドールの価値》とは?<Number Web> photograph by L’Équipe

6選手分、8つのバロンドールトロフィーが展示されているACミランのミュージアム。本物はシェフチェンコとファンバステンのものだけ

 タッチ画面では彼らのかつてのプレーを自由に見ることができ、FF誌がシボリに送った受賞を知らせる電報などの歴史的資料も展示されている。アルバノが語る。

「将来はバロンドール関連のイベントや、かつてクラブに所属した偉大なフランス人選手たち――ネストル・コンバンやパトリック・ビエラ、リリアン・テュラム、ダビド・トレゼゲ、ディディエ・デシャン、ポール・ポグバ、ティエリー・アンリなどについての催しを開催したいと思っている。ピエモンテは地理的にも文化的にもフランスとは近い。多くの観光客がアルプスを越えてフランスからやって来る」

 ミュージアムはそう遠くない将来に、プラティニが獲得した3つのバロンドールのうちのひとつ――ジョバンニ・アニェッリの70歳の誕生日にプラティニがアニェッリに贈ったもの――を、アニェッリ家から寄贈されるという。アルバノがふたりの逸話を披露する。

「プラティニからの贈り物に心から驚いたアニェッリは、『これは純金製なのか?』とプラティニに尋ねた。プラティニはアニェッリに『純金だったらあなたに贈ると思いますか?』と答えた(笑)」

 ユーベとは逆にACミランのミュージアムには、クラブ所属の選手たちが獲得した8つのバロンドールがすべて飾られている。ただし本物はふたつだけで、ひとつはアンドリー・シェフチェンコ(2004年)のもの、もうひとつはマルコ・ファンバステンが3度目の受賞を果たした1992年のトロフィーをミュージアムに寄贈したのだった。残りの6つ――ジャンニ・リベラ(1969年)とルート・フリット(1987年)、ファンバステンの2つ(1988年、1989年)、ジョージ・ウェア(1995年)、カカ(2007年)はどれもレプリカである。

「すべてはチャンピオンギャラリーに置いてある」とモンド・ミランミュージアムの責任者であるアレッサンドロ・ジシスは語る。

「そこには選手の歴史を辿れるスクリーンがあり、当時の新聞や『バロンドール50年史』(2005年発行)などの書籍もあわせて展示されている」

クラブにとってのバロンドール

 何に価値を置くかで、クラブの方向性も異なる。バイエルン・ミュンヘンの場合、最優先は個人よりもクラブであり、選手はどれほど偉大であろうともクラブのために貢献する存在でしかない。アリアンツ・アレナのミュージアムにショーウィンドウを恒久的に持っているのはゲルト・ミュラーだけである。そこには彼がドイツ人として初めて獲得したバロンドール(1970年)と2つのゴールデンブーツ(ヨーロッパ得点王)、そしてリオネル・メッシが2012年にミュラーの年間最多得点記録(67得点、1973年)を更新した際に、彼に捧げたユニフォームが飾られている。他のレジェンドたちは、特別な催しが開催されるときにだけ、一時的にトロフィーや記念品が展示される。

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