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馬体重350kgの“超小柄なアイドル”メロディーレーンが有馬記念へ! 菊花賞馬タイトルホルダーと「夢の姉弟対決」なるか
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2021/11/06 17:02
未勝利戦を勝ち上がった当時(写真)の馬体重は340kg。身長161cmの岩田望来騎手が大きく見える
初勝利は翌2019年6月15日、阪神芝2400mの3歳未勝利戦。道中は後方に待機し、直線で外に持ち出されると豪快に末脚を伸ばし、2着を9馬身も突き放した。
デビュー10戦目だったこのときの馬体重は340kg。1972年9月2日にジャンヌダルクが小倉競馬場で記録した350kgのJRA最少馬体重優勝記録を47年ぶりに更新した。
そして同年9月28日、阪神芝2600mの1勝クラスを338kgの馬体重で優勝。自身の記録を更新した。
このときも、直線一気の鮮やかな競馬で、2着に2馬身半の差をつける快勝だった。
注目され出したのはこのころからで、次走、牝馬でありながら菊花賞に参戦したことで、さらにファンが増えた。
菊花賞では単勝65.7倍の12番人気という評価ではあったが、メンバー最速タイの末脚で鋭く追い込み、勝ったワールドプレミアからコンマ4秒差の5着と健闘した。
このときは340kgで、JRA最少馬体重重賞出走記録を更新。
なお、メロディーレーンは、330kgのJRA最少馬体重出走タイ記録(もう1頭はグランローズ)も保持している。
「もっとも大きな馬」と比較すると馬体重は約半分
330kgや340kgがどれだけ小さいかは、2016年まで現役だったショーグンが持つJRA最高馬体重出走記録の640kgと比べてもらえればわかるだろう。
最近では、藤田菜七子とのコンビで2018年に2勝した牝馬のマルーンエンブレムも小さかったが、あの馬でも380kgから394kgで競馬をしていた。
1980年代後半に競馬を始めた筆者がパッと思い浮かべる「小さくて強い馬」は、1986年の新潟3歳ステークス(旧馬齢)と翌87年の関屋記念と重賞を2勝したクールハートという牝馬だ。同馬でさえ、376kgが現役時代の最低出走馬体重だった。
上述したマルーンエンブレムもメロディーレーンと同じくオルフェーヴルの産駒だ。オルフェ自身、440kg台から460kg台で競馬をしていたように、それほど体は大きくなかった。その父のステイゴールドは408kgで走ったこともあるが、自身は香港ヴァーズでGI制覇を果たし、種牡馬として、オルフェのほかにもゴールドシップ、ドリームジャーニー、フェノーメノなど、何頭ものGI馬を送り出している。「小さくても強い」ところは、この父系の特性のひとつと言えよう。