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「勝って当然。負ける気はしない」横山武史(22)がデビュー時から信じていたエフフォーリアの未来《天皇賞・秋制覇》 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/11/07 11:01

「勝って当然。負ける気はしない」横山武史(22)がデビュー時から信じていたエフフォーリアの未来《天皇賞・秋制覇》<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

第81回皐月賞を制したエフフォーリアと横山武史

意識し始めた“クラシック戦線”

 エフフォーリアの2戦目は、11月8日に東京芝2000mで行われた1勝クラスの百日草特別になった。新馬戦から2カ月以上も間隔があいた理由について、鹿戸はこう説明する。

「普通、あれだけ新馬戦で強い勝ち方をすると中1週の札幌2歳ステークスに行きたくなるところです。けれども、疲れが残っていたので、オーナーサイドと協議し、休ませて、いい状態になってから次を使うことにしました。どうしても疲れが溜まるタイプなので、間隔をあけながら使っていくことになるんです」

 百日草特別では、すっと好位につけたものの、やや行きたがり、横山が手綱を引いて宥めながらの競馬となった。直線入口では前が壁になっていたが、ラスト400m付近で前が開くと鋭く抜け出した。

 この一戦から、鹿戸はクラシックを意識するようになった。

「抜け出すときの一瞬の脚にすごいものがあったので、もっと成長したら楽しみだな、と思いました。次は、間に合えば1月17日の京成杯、無理なら2月14日の共同通信杯に向かおう、とオーナーサイドと話しました。実際は共同通信杯に向かったのですが、もし京成杯に出ていたとしても、ぶっつけで皐月賞に出ていたと思います」

 疲れが溜まりやすいことに加え、調教が強くなると精神的な負担が大きくなるのか、疝痛を起こすことが多かった。しかし、レースを使うごとに心身が丈夫になり、共同通信杯に出走するころには疝痛も起こさなくなったという。

「『ビシッとやってこい』とだけ言いました」

 3カ月ぶりの実戦となった共同通信杯では、緩い流れのなか、掛かり気味に先行。直線で力強く末脚を伸ばし、2着のヴィクティファルスを2馬身半突き放した。横山は右手を突き上げ、喜びを表現した。

「“重賞を勝てる”という感覚が現実となり、とても嬉しかったです。東京コースは前走でも大丈夫でしたし、距離がひとハロン短くなることも問題ないと思っていました。折り合い面などをクリアし、力を発揮すれば勝負になるだろう、と」

 鹿戸はこう振り返る。

「いい体で放牧先から戻ってきたので、少し太め残りかなと思っていました。それでもあれだけ強い勝ち方をしてくれた。体重のプラスマイナスはあまり関係のない馬なんですね。望んでいたとおり、最後はすごい脚を使ってくれたので、これなら次も期待できるな、と思いました」

【次ページ】 第81回皐月賞の発走が迫り…

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