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《スケートカナダ優勝》王者ネイサン・チェンを襲った“コーチ不在”のハプニング…それでも「ぼくは大丈夫」と即答できた理由 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2021/11/02 17:03

《スケートカナダ優勝》王者ネイサン・チェンを襲った“コーチ不在”のハプニング…それでも「ぼくは大丈夫」と即答できた理由<Number Web> photograph by Getty Images

スケートカナダではフリーでコーチが不在となるハプニングに見舞われながら、優勝を果たしたネイサン・チェン

 試合直前にアルトゥニアンコーチと電話で会話をしたので、本番で彼がリンク際にいなかったことは特に影響はなかったと言う。元々過去2シーズン、イェール大学に通いながらオンラインで指導を受けて世界タイトルを守ったチェンである。

 アルトゥニアンは、以前著者にこう語ったことがあった。

「コーチの仕事とは、子供を育てるのと同じ。生徒がいつまでもコーチに頼らなくても良いように、自立させることが目標だと思っています」

 その彼の信念が、チェンを予想外の事態にも動揺しない選手に育てたのだろう。

「バブル方式は厳しすぎると思いますか?」の質問には…?

「このバブル方式のポリシーは厳しすぎると思いますか?」

 会見でそう記者に聞かれたチェンは、「いえ、そうは思いません」と答えた。もちろん選手を含めて、全ての関係者たちの健康は最優先事項である。

 2月の北京冬季オリンピックも、東京オリンピック以上に厳しいバブル方式が採用される予定だ。開催を3カ月後に控えた現在、次々と新たな規制が追加で発表されている。

 スケートカナダでは、たまたま知らずにバブルの外に出て追放されたのは、コーチだった。これが万が一、選手だったならどうなっていただろうか。

 あるいはコーチが不在のために、選手が動揺して試合の結果に影響が出ていたら。

 これは北京オリンピックに赴く全ての関係者にとっての、大きな教訓と言える。

 北京の全ての競技会場で、バブルの境界線が明確に表示されているという保証はない。今回のように運営側の不手際であっても、追放されるのはバブルから出た本人だ。4年に一度の大舞台で、最悪の事態が起きないことを心から願うばかりである。

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