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驚異の15歳ワリエワがスケートカナダで見せた“異次元”の演技「小さな身体を駆使して跳ぶだけの選手ではない」《歴代最高スコア》

posted2021/11/03 17:01

 
驚異の15歳ワリエワがスケートカナダで見せた“異次元”の演技「小さな身体を駆使して跳ぶだけの選手ではない」《歴代最高スコア》<Number Web> photograph by Getty Images

スケートカナダにて、総合265.08の高得点を叩き出して優勝した15歳のワリエワ

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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 挑むような眼差しで、挑発的に「ボレロ」を最後まで大きなミスなく滑り切ったカミラ・ワリエワは、最後のポーズを終えると目を閉じて拳を握りしめ、あどけない15歳の表情に戻った。

 出てきたスコアはフリーで180.89、総合265.08。いずれも女子の歴代最高スコアだ。男女のカテゴリーを取り払えば、今大会ではネイサン・チェンに次いで全体の2位である。そ、そんな……と脱力したくなる、別次元の戦いのスケートカナダ女子だった。

ワリエワの“非の打ち所のない”演技

 前日10月29日のSPから、レベルの高い戦いが繰り広げられていた。

 トップ4位は全員3アクセルに挑み、そのうちワリエワと、エリザベータ・トゥクタミシェワがクリーンに成功して二人とも80点台を出し、1位2位と並んだ。3位は3アクセルの回転が4分の1足りなかったアリョーナ・コストルナヤだった。

 フリーでは、トゥクタミシェワが貫禄たっぷりに2度の3アクセルを成功させて、フリー151.64で暫定1位に。次に出てきた最終滑走が、SP84.19でトップに立っていたワリエワだった。

 冒頭の両手を頭上に揃えての4サルコウを、きれいに着氷。次の3アクセルはステップアウトになったが、残りの2度の4トウループ、6度の3回転ジャンプはノーミスで降りた。ワリエワはこれまで我々が何度も繰り返し見てきた、ジュニアあがりの小さな身体を駆使してジャンプを簡単そうに跳ぶだけの選手ではない。ここまで長くなくても良いのではないか、と言いたくなるほど長い脚を持て余すことなく、フリーレッグを常にきれいに伸ばす。柔らかい関節を駆使したスピンのポジションと、ぶれない体の軸。どれ一つとっても非の打ちどころがなく、高い技術点に加えて、演技構成点は9点台が揃った。

 2位のトゥクタミシェワに32点ほどの点差をつけ、ワリエワは初のシニアGPタイトルを手にした。3位はアリョーナ・コストルナヤが入り、ロシア女子が表彰台を独占。ジュニア時代、ワリエワと競っていたアリサ・リュウは総合5位に終わった。

【次ページ】 ワリエワはザギトワと同じ“トゥトベリーゼ門下生”

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