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「皆さんにも覚悟を持ってもらいたい」大型補強で注目の島根の司令塔・安藤誓哉がファンに語ったリーグ優勝への決意
text by
大橋裕之Hiroyuki Ohashi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/10/29 17:00
昨季と今季現在までのスタッツを比較すると、平均得点10.3→15.3、平均アシスト3.9→5.9と大きく数字を伸ばしている安藤誓哉
「正直言って、ここまで機能しているディフェンスがあまりにも少なかったので、意識もリズムも変えるために(マンツーマンディフェンスと)混ぜ合わせるという意味でゾーンディフェンスを導入してみました」
横浜のパトリック・アウダやレジナルド・ベクトンという強力なインサイド陣への対応だと考えられたが、そうではなかったようだ。現状を変えたくて繰り出した手だったのである。現に、プレスでは連動性を欠いて簡単にボールを運ばれ、ゾーンではペイントエリアを簡単に崩される場面があっただけに、まだ十分に整備されているものではなかった。
チームとして得点するために
対照的に選手たちは敗因について別の視点をあげた。まず金丸は第1戦後に「オフェンス」に言及。この試合、チームは1Qで28対11と良い滑り出しを見せ、本人も最初の10分だけで3ポイント3本を含む14点の活躍。1試合を通して24得点と、移籍後初めて20点を超えた試合だった。ただ、彼が積極的にシュートを仕掛けるには理由もあったのだ。それは、大阪との第2戦から続くボールを止められて1on1が増える単調な攻めから抜け出すため。現在、チームとしては、今シーズンのテーマのひとつ「スペーシング」を実現すべく、コーナーに選手を配置する指示を受けているそうだが、この日は選手たちで工夫をしたそうだ。
「今日は積極的にボールと逆サイドの人間が動きました。僕の場合はピンダウンスクリーン(スクリーナーがゴールに近づくように動いてセットするオフボールスクリーン)を多くもらってアタックに行く形を試したんです。人とボールが動いたことで、今日の(良い)出だしにつながりましたね。(1on1から始める攻撃ではなく)チームでバスケットボールをやらないと、勝つチャンスがあっても負けてしまいます。そこは全員で改善をしていかないといけないです」
金丸から具体的な言及は無かったが1on1の起点となる選手は、トラビスやビュフォードだろう。もちろん平均得点で20点近く挙げる彼らの存在はチームの武器である。ただ、そんな選手でも毎試合シュートが入るとは限らない。金丸が強調したのは強みをどう生かすか。その過程が課題なのだ。それでも開幕して1カ月も経たない時期での発見に「改善できる時間がたくさんある」と前向きにとらえていた。