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「皆さんにも覚悟を持ってもらいたい」大型補強で注目の島根の司令塔・安藤誓哉がファンに語ったリーグ優勝への決意
text by
大橋裕之Hiroyuki Ohashi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/10/29 17:00
昨季と今季現在までのスタッツを比較すると、平均得点10.3→15.3、平均アシスト3.9→5.9と大きく数字を伸ばしている安藤誓哉
さらに第2戦後、指揮官と金丸の見解を踏まえて、いまの状況を問うと、安藤は「ディフェンスとオフェンスはつながっている」とした上で、チームの「連係」を課題に挙げた。彼はボールが止まったり、スペーシングが上手くいかないことを認識しつつも、仲間の特徴が分かってきたことで「個々の強みをどう組み合わせて、連係させていくか」が重要だと言う。注目と期待を集めたとは言え、島根はまだ新しいチームなのだ。昨シーズンが西地区5位だったことも加味すれば、彼らは強豪を目指す、言わばチャレンジャーだ。個の力をひとつにしていくため「気づいたことをチームメイトに話しながらやっていきたい」と意識する。
また、そう話す表情は明るい。開幕戦ではディスタンスを取った上での対面式、横浜戦ではオンライン式の会見であったが安藤の雰囲気は、A東京時代と趣が異なった。もちろん勝利していたことを差し引く必要はあるかもしれないが、島根に「覚悟」を持って挑戦に来ている中に、それを楽しむ様子をうかがわせた。
進化し続ける“スサマジ”
「島根は積極的に攻め続けるスタイル。自分がそのペースを握っていると思います。(攻撃が)停滞した中でどうしていくのかという次の課題もいま見つかってきました。どうやっていこうかと考えながらやっている最中ですね。(楽しんで見えた表情は)開幕戦ということはもちろんあったんですけど、ちょっと細かいところも考えながらやっていきたいと感じています」
横浜戦から中2日で迎えた10月27日の第5節、京都ハンナリーズ戦。今シーズン初の水曜日開催であったが、島根は連戦の疲れを感じさせず、100対66で快勝した。北川弘や白濱僚祐ら控えを含めた全選手がコートに立ち、開幕戦以来の100点ゲームを飾って、失点は今シーズン最小を記録した。5試合ぶりのホームで“らしさ”を発揮し、ボールも人もよく動いていたことは、スティール10本、アシスト27本のスタッツからも明らか。前節の横浜戦を終えて「ディフェンスをハードにやって走る、展開の速いバスケをもう一度確認できたので、またここからだと思っています」と安藤が話した言葉を、思い出さずにはいられなかった。
王者撃破を皮切りに、新たな“スサマジ”を感じさせた1カ月は、いわば序章である。今後も「壁」は訪れるが、全員で乗り越えていく過程も楽しみだ。そうでなければ最後まで走り切ることはできないだろう。島根の次章の始まりは今週末の天皇杯3次ラウンドから。そして、島根と同様に大型補強を行い躍進を続ける同地区3位・広島ドラゴンフライズとの「中国地方ダービー」(11月6日)も注目のカードとなる。
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