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<中日・立浪新監督>ドラフトの“長距離砲トリオ”に課題? 平均2.8点の貧打解消策は《大胆コンバート》? 山崎武司の忖度なし提言
text by
間淳Jun Aida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/30 11:03
山崎武司や立浪和義らが現役だった頃の中日は「強竜打線」と呼ばれた。立浪新体制で打力復活となるか
「5番と6番には本塁打のある打者がほしい。極端なことを言えば、石川をサードで起用して、高橋をセカンドにコンバートしてもいい。石川はけがから復帰したばかりで未知数のところはあるが、チームの将来を考えれば1つの選択肢になると思う」
中日は今シーズン、二塁手に7人の選手を起用されている。最多出場は阿部寿樹の66試合で、選手を固定できなかった。そこで、山崎さんは高卒2年目の石川昂弥の名前を挙げた。身長185センチ、体重93キロの石川は飛距離を武器とする。
6月に二軍の試合で左手首に死球を受けて骨折したが、今月のフェニックス・リーグで復帰して快音を響かせている。セ・パ両リーグで本塁打王に輝いた山崎さんは石川の長打力と将来性を評価し、主軸として期待を寄せている。
ドラフト指名した3人の長距離砲の“課題”とは
球団も打線の強化、特に長打力のある打者の育成は急務と考えている。今秋のドラフトは、その危機感の表れと言える。今年は将来性豊かな高校生投手と、大学ナンバーワン左腕の西日本工大・隅田知一郎に注目される中、中日が1位で指名したのは上武大の外野手・ブライト健太だった。身長184センチ、体重84キロと体格に恵まれ、右の大砲候補になり得る逸材だ。
さらに、ドラフト2位では駒大の鵜飼航丞、6位で大阪商業大の福元悠真を指名。全6選手で投手は1人だけという異例のドラフトとなった。
鵜飼は身長182センチ、体重100キロ、福元は180センチ、90キロと、ブライト健太以上にどっしりとしている。3人の共通点は「外野手」、「右打者」、「長距離砲」。中日の補強ポイントは明確だった。
大学生は即戦力とされるが、山崎さんは「プロとアマチュアは全然違う。野手で1年目からレギュラーとして活躍するのは簡単ではない」と語る。3選手ともにドラフトで指名されるだけの能力の高さを感じながらも、プロで直面するそれぞれの壁を予想した。
「ブライトはバットを振る幅が大きくてフォロースルーも大きい。豪快さがある反面、打撃が全体的に大雑把に映る。一番は直球への対応に時間がかかりそう」
「鵜飼は、どの方向にも本塁打を打てるパワーがある。甘い球や手が伸びるコースは長打にできるが、内角には苦労すると思う」
「福元は外角を苦手にしているように見える。今の打ち方だと、右投手の外角に逃げるスライダーや外角の直球に対応するのは難しい」