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“超過酷”170kmトレイルレースUTMBはファン以外も感動する駅伝のようなレースだった 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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posted2021/11/06 11:00

“超過酷”170kmトレイルレースUTMBはファン以外も感動する駅伝のようなレースだった<Number Web>

世界最高峰のトレイルランレース「UTMB」。全長約170km、登りの獲得標高差10000m、制限時間は46時間30分

パスがあれば「コロナ前と同じ」

 余談だが、滞在中はホテルやほとんどのレストランでも衛生パスの提示を求められた。朝食だろうが、テラス席だろうが、閑古鳥が鳴いていようが関係なし。その代わり1度チェックをパスすれば、ほぼコロナ前と同じ。お酒も飲めるし、置いてあるカトラリーがちょっと汚れているのもコロナ前と同じだ。

 感染リスクはゼロではないし、衛生パスの提示がベストかはわからない。

 ただUTMBのプレスエリアでぎゅうぎゅうになっても、周りにいる人はすべてワクチン摂取済みか陰性証明書があると思うと安心感が違った。

 結局、運営と参加者がどこまで同じ視線で、どこまで本気で感染対策に臨めるかで、大会への安心感、信頼感が決まってくるのかもしれないと思った。

こじんまりしたリゾート地

 さて、レースに話を戻そう。

 スタート地点のあるシャモニーは、登山やスキー、パラグライダーなどのアクティビティが盛んなこじんまりとしたリゾート地。30分も歩けば繁華街のほぼすべてを把握することができる。

「こちらです」と案内されたスタート&ゴールのゲートは、街のメインストリートのひとつにあった。ただしメインストリートと言っても、ヨーロッパの旧市街などではおなじみの、車道なのか、歩道なのか分からないぐらいの幅しかない。コースを確保するための衝立のすぐ脇までバルのテーブルが置かれ、ゴールのすぐ奥には教会も見える。

 トレイルレースのスタートといえばスキー場や駐車場のイメージが強かったが、ここでは街のど真ん中。避暑に訪れた観光客が、レストランのテラス席で食事をしたり、ショッピングを楽しみながら、選手たちにエールを送る。トレイルランはロードの先にある、一部の愛好家のものだと思っていたが、ここでは身近な存在なのだ。だけどやっぱりレースを真剣に見ている観客は多くない。

 そんな思いを察したのだろう。

「今日は距離の異なるカテゴリなので、静かですけれど、メインのUTMBに向けて、どんどん人は増えていきますよ」

 アテンドしてくれたOn Japanの前原靖子さんの説明を、それでもこの時は話半分で聞いていた。

【次ページ】 「これは箱根駅伝に近いのかもしれない」

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