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藤井聡太三冠「46敗」の研究(驚きの勝率0.842)…デビュー丸5年、藤井三冠19歳が負け越している棋士は何人いる?
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相崎修司Shuji Sagasaki
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/16 11:02

10月でデビュー丸5年の藤井聡太三冠。15日時点で246勝46敗だが…負け越している棋士は何人いるのか? 写真は7月の棋聖戦、初防衛後
中原誠十六世名人
・65年度 7勝2敗
・66年度 32勝7敗
・67年度 47勝8敗 棋聖挑戦。古豪新鋭戦優勝
・68年度 43勝12敗 棋聖獲得
・69年度 35勝15敗 棋聖防衛。王座戦優勝
羽生善治九段
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・85年度 8勝2敗
・86年度 40勝14敗
・87年度 50勝11敗 天王戦、若獅子戦優勝
・88年度 64勝16敗 NHK杯、天王戦、新人王戦、勝ち抜き戦優勝
・89年度 53勝17敗 竜王獲得。全日プロ、若獅子戦優勝
棋戦数の違いなどを含めて、対局環境を全く同一視することはできないが、両レジェンドと比較しても藤井の戦績は一歩上を行っていそうだ。ただ、藤井と羽生が初タイトルを獲ったのが5年目なのに対して、中原は4年目(番勝負初出場は3年目)の68年度なので、この分野では中原に分がある。
藤井三冠が負け越している棋士は誰?
最後に、藤井がこれまで誰に何敗したかをあげる。
豊島将之竜王=9敗
久保利明九段、斎藤慎太郎八段、大橋貴洸六段=3敗
深浦康市九段、稲葉陽八段、菅井竜也八段、佐々木大地五段=2敗
渡辺明名人、永瀬拓矢王座、羽生善治九段、井上慶太九段、丸山忠久九段、三浦弘行九段、木村一基九段、山崎隆之八段、広瀬章人八段、村山慈明七段、佐々木勇気七段、千田翔太七段、三枚堂竜也七段、近藤誠也七段、都成竜馬七段、増田康宏六段、上村亘五段、今泉健司五段、井出隼平五段、出口若武五段にそれぞれ1敗。
豊島の対藤井9勝は群を抜いているが、今年のタイトル戦で藤井が猛追し、竜王戦第1局を藤井が勝ったことで、対戦成績は9勝9敗の五分になった。そして藤井に勝ち越している棋士は大橋(3勝2敗)、深浦と佐々木大(いずれも2勝1敗)、井上と井出(ともに1勝0敗)の5名しかいない。
四段昇段が同期の大橋が意地を見せている形だが、大橋の対藤井戦は前述した20年6月の対局を最後に行われていないので、現状ではまず藤井と当たるところまで勝ち上がる必要がある。
また、深浦と佐々木大の師弟がそろって勝ち越しているのも興味深い。特に師匠は今年度、藤井二冠(当時)から白星を上げたのが光る。10月末にNHK杯で藤井―深浦戦が放映されるが、こちらにも注目が集まりそうだ。
とはいえ、年齢差を考えると、現在の一線級クラスにある棋士がどこまで藤井に対抗できるかとなると難しい。対藤井を最も意識するのは充実期を迎えている20代半ばの棋士だろうし、また藤井の同世代棋士が追いかけることも期待したい。加古川青流戦を優勝した服部慎一郎四段、新人王戦を制した伊藤匠四段、そして奨励会で奮闘している新世代の活躍を待ちたいと思う。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
