テニスPRESSBACK NUMBER
「ラケットを壊したことは一度もない」「YouTubeで何千ものテニス動画を」35歳ナダルが今も《新たな成功》に挑めるワケ
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byGetty Images
posted2021/10/10 17:03
赤土の王者ナダルが独占インタビューに答えてくれた
「子供のときにとにかく練習が好きで、早朝から夜遅くまで、信じられないくらい長い時間コートで過ごしていた。ただ、他の選手をコピーしたことは1度もなかった。
正確に言えば、他の選手のプレーを見ないわけではない。他の選手を観察し、彼らがどうやってプレーを成功させているかを研究するんだ。
そのままコピーせず、プレーの裏側にある意図を推測し、自分のプレースタイルに合うように整えて取り入れる。
コートの上のどこに立つか、どう動くか、どう打つか、といったことだ。私はアイデアを得るためにYouTubeの何千ものテニス動画を見てきた。
長くトップでい続ける秘訣があるとしたら、プレー面のイノベーションの探求だ。年齢的な衰えで何かをできなくなったら、新しいアイデアで補えばいい」
サンプラスvsアガシを見るのが好きだった
――昔の試合も見るのですか?
「子供のときはピート・サンプラスとアンドレ・アガシの大ファンで、2人の試合を見るのが好きだった。サンプラスからは攻撃的なプレースタイルを、アガシからはファイティングスピリットを学んだ。異なるタイプの2人なので、彼らの対戦はとても刺激だった。もちろんスペイン出身で現在私のコーチであるカルロス・モヤからも影響を受けたよ。
さらに歴史を遡ると、イリ・ナスターゼの試合が好きだ」
――1972年に全米、1973年に全仏で優勝したルーマニアの英雄ですね。
「私はあの時代のテニスに憧憬を抱いている。パワーに頼ったプレーよりも、感覚的なプレーが多かったからだ。魔法のようなプレーが存在した。
当時は今より、コートの上で感性と戦術が重要な位置を占めていた。ポイントを取るまでにより長い攻防があり、忍耐力が問われた。現代のテニスに欠けている点だ。クレーコートではまだそれをできる部分があるが、芝やハードコートではほぼ不可能。テニスが高速化している」
サーブについて、何かしらの検討が必要に
――プレーのルールについて、何か変更が必要だと考えているのでしょうか。