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“悩ましい”今年のドラフトでプロスカウトが挙げた《注目の17人》 「覚醒する気がする」隠れ有望株は岐阜にいる?
posted2021/10/09 17:02
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Yuki Suenaga
プロ野球のドラフト会議が10月11日に迫っている。
子どもの頃からプロ野球選手に憧れてきた選手にとっては運命の日。そして、選手を指名する側もこの瞬間のために、長い年月をかけてきた。球団のスカウトは時に、選手本人以上に選手を知っている。
1、2人で競合する場合、他球団の動きを読みやすいが
ただ、今年は各球団が頭を悩ませているという。在京球団のスカウトが明かす。
「今年はリストの上位に投手が占める割合が非常に高い。他の球団も同様なのではないだろうか。そうは言っても、圧倒的に力が抜けている選手もいない。1、2人の選手で競合するようなドラフトは、他球団の動きを比較的読みやすいし、その選手を指名するのか回避するのかを決めれば戦略は立てやすい。
ところが、今年は4、5人くらいの投手がドラフト1位候補として力が拮抗しているため、他球団の分析が例年以上に大切になる」
コロナ禍による「視察不足」で異例の事態
さらに、ドラフト戦略を難しくしている理由に挙げているのが「視察不足」である。長期化する新型コロナウイルスの感染拡大で、高校生も大学生も対外試合が大幅に減った。
学校や連盟の中には、感染症対策で練習や試合の視察を禁じた時期もあった。さらに、今年のドラフト会議は例年より2週間ほど早い。スカウト活動には、異例の事態が起きているという。
「本来、ドラフトの数週間前になれば、選手の評価や分析は終わり、ドラフトの戦略に力を注ぐ。しかし、今年は選手を把握しきれていない。特に、大学と社会人は夏のオープン戦が少なく、課題と成長が十分に見えていない選手もいる。
それだけに、高校生を優先的に見てきたが、高校生も満足のいく分析ができているとは言い難い。ドラフトまで10日を切っても、高校に行ってリストに入っている選手の練習を見せてもらっている。木製バットへの対応や体つきを見て、高校野球を引退してからドラフトまでの期間をどのように過ごしているのか確認している。これまでにはあまりなかったことだが、他の球団も同じ事情のようだ」