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《ドラフト隠し玉候補》“盗塁成功率8割の走り屋”と“鉄砲肩の19歳捕手”が独立L徳島に…「甲斐選手のように育成でも」

posted2021/10/09 17:01

 
《ドラフト隠し玉候補》“盗塁成功率8割の走り屋”と“鉄砲肩の19歳捕手”が独立L徳島に…「甲斐選手のように育成でも」<Number Web> photograph by Kou Hiroo

独立リーグ徳島の村川凪(左)と古市尊。足と肩のスペシャリストとなれるか

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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 数ある独立リーグ球団の中でも、徳島インディゴソックスは「NPBへの人材輩出」という目標を第一に掲げているという点で、かなり異色だと言える。そのために積極的にスカウティングもしている。

「今年、優勝できなかったのは育成優先と言う基本方針の中で、選手のレベルがそれほど高くなかったことが大きいですね。去年はそこそこレベルの高い選手がいて、彼らを育成する中で優勝できたのですが、今年はベースになる選手のレベルが低かった」

 2年目の吉田篤史監督はこのように語る。ロッテでセットアッパーとして活躍し、引退後は横浜、オリックスなどでコーチを務めた人物だ。

 今季も球団は、トータルのレベルは高くなくても、「一芸に秀でた」特化型の選手を起用し続けた。

大学リーグで盗塁王3回も無名だった村川凪

 村川凪の売りは何といっても「足」だ。

 1998年6月26日生まれ。如水館高-四日市大を経て今年入団した。

「中学までは内野でしたが、守備がうまくなく、チームにいい内野手もいたので高校では外野手に転向しました。そして四日市大ではリーグの盗塁王に3回、ベストナインにも1回選ばれました。そのまま野球を続ける気だったのですが、去年はコロナで社会人のセレクションにも参加できなくなって、独立リーグに行くことにしたんです」

 この時点では全くの無名。四国4球団のトライアウトに参加すると「足の速い選手」を求めていた徳島球団に指名された。

「50mは5秒8です。前期は内野にゴロを転がしたり、セーフティバントで出塁して、足で稼ごうと思っていました。でも岡本哲司コーチから“思い切って打席に入れ”とアドバイスをいただき、打撃フォームも改善しました。後期からはしっかりバットを振っています。しっかり振れば安打も増えますし、長打になれば三塁打もあります」

 とはいえ“足が速い”ことと“盗塁できる”ことは異なる。「走塁技術」がなければ、足を活かすことはできないからだ。村川は徳島の地で様々な指導を受けたという。

【次ページ】 前後期の成績を見ると村川の進化は明らか

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