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冨安健洋に地元紙「10点満点で2点」の超低評価は妥当なのか? アーセナル4戦目で味わったプレミアの洗礼とは
posted2021/10/05 17:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
AFLO
冨安健洋もアーセナルも、この日は大いに苦しんだ。
10月2日に敵地で行われたブライトン対アーセナル戦。ブライトンのある英国南部は暴風雨に襲われ、試合前から激しい雨が降っていた。試合開始時の風速は約15メートル。そこに地面を叩きつけるような強い雨が加わった。筆者も最寄りのファルマー駅からスタジアムまで5分ほど歩いただけで、全身びしょ濡れになってしまった。
こうした悪天候に加え、ブライトンの高度な戦術がアーセナルを襲った。試合後のスタッツによると、アーセナルのシュート数「8本」に対し、ブライトンは約2.5倍の「21本」。ポゼッションでもブライトンが58%で上回ったように、アーセナルは大苦戦を強いられた。英BBCのサッカーダイジェスト番組「マッチ・オブ・ザ・デイ」に出演した元イングランド代表MFダニー・マーフィー氏は「0-0の引き分けに喜んでいるのは間違いなくアーセナルの方だ」とし、アーセナルが辛うじてブライトンに引き分けたと振り返っていた。
ブライトンのターゲットにされた冨安
試合の流れを決めたのは、在任3年目のグレアム・ポッター監督率いるブライトンの戦術だった。基本システムは、両サイドにウイングバックを置く3-4-2-1。ただ、この並びも単なる数字の羅列でしかなく、ボールの位置や試合展開に応じて、フィールドプレーヤー全員が流動的に動いた。選手たちが非常に鍛錬されている印象で、積極果敢なハイプレスで敵陣に押し込んだ。
対するアーセナルは、ブライトンの流動的なシステムとハイプレスに苦しんだ。後方からのビルドアップもうまくいかず、ブライトンにチャンスの山を築かれた。
会場となったブライトンの本拠地アメックス・スタジアムの記者席は、メインスタンドの最上部に位置する。ピッチ全体を俯瞰できる場所にあり、選手の配置や動きからブライトンの狙いがよく分かった。彼らがターゲットにしていたのがアーセナルの右サイド、つまり冨安のプレーエリアだった。
アーセナルは陣形が左右非対称のフォーメーションを採用し、冨安の役割も通常の右サイドバックとは大きく異なる。
冨安は守備時に「4バックのサイドバック」として右サイドをカバーしている。しかし、自軍がボールを持つとチームの陣形が3バックに変形するため、「3バックの右センターバック」として中央部にポジションを移すのだ。状況に応じて、冨安は右サイドから中央まで広いエリアをカバーすることになる。