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冨安健洋に地元紙「10点満点で2点」の超低評価は妥当なのか? アーセナル4戦目で味わったプレミアの洗礼とは
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byAFLO
posted2021/10/05 17:02
冨安健洋は激しい雨に打たれながら守備に奔走。クリーンシートに貢献したが、過去3試合とは一転して厳しい評価も下された
ブライトンは、冨安のいる右サイドのエリアに2人の選手を送り込んだ。ひとりは、ウイングバックのマルク・ククレジャ。もうひとりは、攻撃的MFのヤクブ・モデルだった。要は、2対1の数的優位の状況を作り出したわけだ。
大外にいるククレジャのマークに冨安がつけば、その背後に広大なスペースが生まれる。冨安がサイドに釣り出されると、モデルが決まってそのスペースに走り込んでパスを受けた。そうかと言って、突破力抜群のククレジャのマークにつかないわけにはいかない。東京五輪にも出場したスペイン代表DFのサイドアタックは、この試合で猛威を奮っていたからだ。
ブライトンは2対1のミスマッチを突き、冨安のいる右サイドから効率的に攻めた。
英紙サンの評価は厳しすぎる
一方のアーセナルは、ブライトンの戦術になかなか対応できなかった。本来ならセントラルMFトーマス・パーティーが冨安のカバーに入るべきだが、中央部に留まるのみ。右MFのブカヨ・サカも前線の高い位置にポジションを取ることが多かった。
そのため、冨安は大いに混乱しているように見えた。首を左右に振って対峙する2人の動きを見ていたが、さすがにマークにつききれない。
しかも強い風雨の影響か、守備対応にも隙が見えた。ここまでの3試合でほぼ無敵を誇った空中戦でもククレジャに競り負ける場面があり、ブライトンにシュートまでもっていかれた。前半30分にはビルドアップ時にボールを不用意に奪われ、相手のショートカウンターからピンチを招いた。ガブリエルのクリアに救われると、冨安は両手を挙げて自身のミスに悔しそうな表情を見せた。
さすがにアーセナルのミケル・アルテタ監督も動き、前半途中にサカに指示を出して、「もっと低い位置で守備につくように」と軌道修正を行っていた。後半に入ると右サイドを完璧に崩されるシーンは減ったが、それでもエネルギッシュな攻撃参加を見せていたククレジャの対応に、日本代表DFは手を焼いた。
だが、決して悪いプレーばかりではなかった。最終ラインから縦方向へのパスでチャンスを生み出したのは2回。守備対応ではプレミアデビューから最も苦戦した試合になったが、0-0のクリーンシートには貢献した。
試合後、過激な見出しと内容が売りの英紙サンが、冨安にチーム単独最低点となる「2点」(10点満点)をつけていたが、さすがにこの評価は厳しいだろう。「システム上のミスマッチ」や「チーム全体が奮わなかったパフォーマンス」を踏まえれば、冨安の採点は5~6点が妥当だ。実際、英衛星放送スカイスポーツは冨安に6点の及第点をつけた。