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阪神・佐藤輝明の59打席連続無安打とロッテ和田康士朗が狙う「独立L→育成→盗塁王」 成績の背景を見ると…〈週刊セパ記録〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKiichi Matsumoto/Sankei Shimbun

posted2021/10/05 11:03

阪神・佐藤輝明の59打席連続無安打とロッテ和田康士朗が狙う「独立L→育成→盗塁王」 成績の背景を見ると…〈週刊セパ記録〉<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/Sankei Shimbun

阪神の佐藤輝明とロッテの和田康士朗。優勝争いとともに記録という面で2人の終盤戦にも注目が集まっている

四球 6(敬遠1)
犠飛 1
打数 52
空振り三振 25
見逃し三振 5
内野ゴロ 11
内野フライ 2
外野フライ 9(犠飛1含む)

王貞治も無安打、三振続きでヤジられた

 三振が半分以上。バットにボールを当てることに苦心していることが分かる。

 ただ、佐藤はここまで安打が出なくても、フルスイングを忘れてはいない。自分の持ち味を活かそうと必死になっているのだ。

 ここまで不振が続く佐藤だが、首脳陣はそれでも起用する方針だ。佐藤はあと20打席でシーズンの規定打席(443)に到達するが、そうなれば「59打席以上も安打が出ないのに規定打席に到達」という珍記録を作ることになる。

 1959年、王貞治は高卒1年目で開幕からスタメンで起用されたが、26打席も安打が出なかった。三振の山を築いて「王、王、三振王!」とヤジられたが、そこから世界のホームラン王になった。

 前半戦の打棒を見れば、佐藤輝明のポテンシャルは新人では比類のないものだ。後年、佐藤輝明の連続打席無安打記録は、彼のスケールの大きさを語るエピソードの1つになっていくのではないか。

9月27日から10月3日の両リーグ、投打の好成績選手

〇パ・リーグ
打撃 ※RCは打撃の総合指標
杉本裕太郎(オ)20打9安1本2点 率.450 RC6.81
吉田正尚(オ)12打5安1本3点 率.417 RC5.05
山川穂高(西)14打4安2本5点 率.286 RC5.00
T-岡田(オ)22打6安2本9点1盗 率.273 RC4.83
柳田悠岐(ソ)21打8安1点 率.381 RC4.27

 オリックスの主軸・吉田正尚は9月26日の楽天戦で復帰。杉本、T-岡田も好調で、オリックスはこの週負けなしの6勝0敗。一気にロッテから首位を奪った。

 しかし吉田は10月2日のソフトバンク戦で右手首を骨折。オリックスはまたもや暗雲が垂れ込めた。ただ吉田がいない間の杉本など他の打者の活躍を見ると、オリックスはもはや「吉田正尚だけのチーム」ではないのかもしれない。T-岡田の2本塁打は西武・山川とともにリーグ最多で9打点も最多だったのがその象徴だ。

 一方でロッテはレアードが週間2割ちょうど(15打数3安打0本2点)など打線が不調に陥っている。盗塁は西武・外崎修汰の3盗塁が最多。

投手 ※PRはリーグ防御率による総合指標
小島和哉(ロ)1登1勝 9回 率0.00 PR3.34
山本由伸(オ)1登1勝 9回 率0.00 PR3.34
宮城大弥(オ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.60
瀧中瞭太(楽)1登1勝 6.1回 率0.00 PR2.35
マルティネス(ソ)1登1勝 6回 率0.00 PR2.22

 ロッテの小島とオリックスの山本が完封勝利を挙げた。オリの宮城は8月21日から白星が途絶えており、10月1日のソフトバンク戦で久々の12勝目。オリは左右のエースが復活したと思われたが、4日に登録抹消された宮城の状態が気がかりだ。

 オリックス、ロッテを追撃する楽天、ソフトバンクも先発投手が好投している。救援ではオリックスの平野佳寿が、登板した4試合すべて無失点に抑えて4セーブを挙げた。

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