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「トミヤスは新しいサニャ」空中戦勝率87.5%… 冨安健洋の“陸空デュエル”がプレミアでも圧倒的《一流SBと比較》
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byAP/AFLO
posted2021/10/01 17:05
レギロンとの空中戦にも何ら臆さない冨安健洋。プレミアの各SBと比べてみても、3試合のスタッツは素晴らしい
冨安健洋(アーセナル)
16/14/87.5%
C.テイラー(バーンリー)
24/16/66.7%
L.ディニュ(エバートン)
24/14/58.3%
J.カンセロ(マンチェスター・C)
25/14/56.0%
M.キャッシュ(アストンビラ)
22/11/50.%
M.リッチー(ニューカッスル)
14/7/50.0%
M.アロンソ(チェルシー)
15/7/46.7%
S.レギロン(トッテナム)
17/7/41.2%
J.ウォード(クリスタルパレス)
17/6/35.3%
V.ツォウファル(ウェストハム)
18/6/33.3%
A.ワン・ビサカ(マンチェスター・U)
17/5/29.4%
M.アーロンズ(ノリッチ)
17/4/23.5%
3試合の出場なのに勝利回数はなんと全体2位
勝率は他を圧倒する87.5%。対象が多くなるため割愛したが、空中戦10回以上の選手に枠を広げても、この勝率は群を抜いて高い数字だ。しかもわずか3試合の出場で全体2位となる14回の勝利回数である。
他に目を引く選手を挙げてみると、176cmと決して大柄ではないが、全体トップの勝利回数であるチャーリー・テイラー。カウンターのきっかけとなるロングボールやクロスなど左足の精度が高く、守備面ではアグレッシブな印象があるが、意外にも空中戦を得意としていることがわかる。
カンセロら超一流のSBは攻守に完成度が高い
では彼らの地上戦での強さはどうだろうか。タックル成功率と比較してそれぞれの対人守備の傾向をみてみよう。
冨安はタックルを試みた回数が3回とまだ少ないが、いずれも成功しているため100%という数字になっている。つまりはここまでドリブルで抜かれたことがないということだ。
他を見てみるとアーロン・ワン・ビサカが驚異のタックル成功率93.3%で、空中戦を得意としない代わりに、やはり圧倒的に地上戦のデュエルに強いことがわかる。
またマティ・キャッシュも88.9%と成功率が高い。ちなみに彼のタックル成功回数16回はマルサウ(ウォルバーハンプトン/19回)、セルジ・カノス(ブレントフォード/17回)に次ぐサイドバック全体の4位だ。もっともこの2人はウイングバックでより広範囲に位置取るため、単純に対人守備の回数が多いのだが。
最もバランスが取れているのはテイラー、リュカ・ディニュ、ジョアン・カンセロだ。空中戦を2回に1回以上のペースで制する一方で、70%以上のタックル成功率も記録している。
さらにこの3人は縦への推進力や精度の高いキックなど、攻撃面でも輝くことのできる選手だ。攻守にわたってサイドバックとしての完成度が高いといえる。
まだタックル数3回の冨安だが、回数を重ねてもこのまま高い成功率を記録し続ければ、守備面においてはリーグトップクラスのサイドバックになることができるだろう。