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開幕6連勝でセリエA首位を独走するナポリ 集大成の攻撃サッカーに敵将も「彼らこそリーグ最強のチームだ」とお手上げ
posted2021/10/02 17:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
ナポリが開幕6連勝でセリエA首位に立った。
陽気だが懐疑心も強いナポリっ子たちは、縁起を担ぐために軽々しく「スクデット」とは口にしない。だが、愛する水色のクラブがカンピオナートの単独首位とあれば心が浮き立つ。今季から就任した新指揮官スパレッティは、海千山千の古狸だ。時期尚早とはいえ優勝レースについて問われると、独特の言い回しでライバルたちを牽制した。
「スクデットは同じ集合住宅に住む7つの家庭で競り合うことになるだろう。うちもその一軒だ。ナポリは優勝争いから逃げも隠れもせんよ」
好発進の主役は2年目のエースFWオシムヘン
第5節までにそれぞれリーグ1位を記録したパス成功率(89.3%)やボールポゼッション率(59.9%)といった全体の数字もさることながら、開幕好発進の主役は2年目のエースFWオシムヘンだ。
9月中旬からの国内外4試合で計6発と大当たり中。とりわけ、レスターとのEL初戦で決めた2ゴールのインパクトが大きい。
敵地で果敢に攻めながら、ナポリはカウンターから2点を先行された。しかし67分、オシムヘンはDFを前後に引きずりながら反撃の1点をもぎ取りチームを勢いづかせると、終了間際の87分、MFポリターノの高めの右クロスに合わせて相手DFソユンジュの肩越しに、上空へ跳んだ。
オシムヘンの頭頂は、クロスバーよりも高い2メートル52センチという超高度に到達した。
抜群の身体能力と空間認識能力により高打点で合わせたヘディング弾は、ゴール左上隅に突き刺さり、貴重な勝ち点1と手応えをチームにもたらした。
「いいスタートを切ることは自分にとってもチームにとっても大事だった。昨シーズンは怪我をしたり、コロナ陽性になったりで悔しさが残ったから。期待してくれる監督のためにも今の調子でゴールを続けていきたい」
高く跳ぶには足元を固める必要がある。
チームの好調を支える立役者として、カリアリ戦でチーム通算400試合出場を達成し、PKも決めた主将インシーニェや宿敵ユーベとの第3節で殊勲の決勝点を奪ったDFクリバリーら従来の主力たちが奮闘しているのは事実だが、6連勝の“裏の主役”はフルアムからレンタル加入したMFアンギサだ。