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「トミヤスは新しいサニャ」空中戦勝率87.5%… 冨安健洋の“陸空デュエル”がプレミアでも圧倒的《一流SBと比較》
posted2021/10/01 17:05
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
AP/AFLO
これまで見せたパフォーマンスとは重みが違う。
ノリッチ戦で新天地デビューし、バーンリー戦でプレミアリーグのフィジカル勝負を経験した冨安健洋。トッテナム戦は移籍後初のビッグマッチだったが、緊張を感じさせない落ち着きぶりでソリッドな守備を披露した。
ソン・フンミンとレギロンを機能不全にした
注目は“アーセナルキラー”のソン・フンミンとのマッチアップだった。最前線のソン、ハリー・ケイン、ルーカス・モウラは流動的に入れ替わる形だったが、韓国人ウインガーが最も活きる左サイドでは全くと言っていいほど仕事をさせなかった。
オフザボールでは徹底的に走りこむスペースを消し、ソンがボールを持てば間合いを詰めて、彼の持ち味である圧倒的なスピードを機能不全にした。
脅威であるセルヒオ・レギロンの攻撃参加も、失点シーンを除けばおおむね抑えることができた。ブカヨ・サカとマークの受け渡しをスムースに行うなど、守備面の連係は加入3試合目とは思えぬ完成度の高さだ。
チームは前半34分までに3ゴールを決めて完勝。特にGKから繋いだ2点目は、ポゼッションの教科書があったなら載っているであろうゴールだ。
数ある首都のライバル関係のなかでも特に因縁深いといわれるノースロンドン・ダービー。冨安個人としても、アーセナルとしても非の打ち所がない内容で勝利したのである。
英『BBC』の採点では7.73点(10点満点)、同じく英『Sky Sports』ではチーム2位タイの8点と客観的にみても好評価だったようだ。
188cmを生かした空中戦勝率、他の選手と比べると?
そんな冨安に関して――このところたびたび話題になっているスタッツがある。空中戦勝率だ。
トッテナム戦でも5回の空中戦で4回勝利。勝率80%は両チーム合わせてトップの数字だ。
身長188cmとサイドバックにしては大型な冨安は、セリエAでも得意としていたエアバトルの強さをプレミアリーグでも発揮している。
クリストス・ツォリスやドワイト・マクネイルなど、競り合う相手が空中戦を得意としないサイドの選手であったことは確かだ。それでもこの数字が、プレミアリーグのなかでも異次元であることを証明する数字がある。
以下のデータは今季サイドバックとしてリーグ戦に出場した試合で、計14回以上の空中戦を戦っている選手を勝率順に並べたものである(数字は第6節終了時点でデータサイト『Whoscored.com』に基づく)。名前と所属、空中戦回数/勝利回数/空中戦勝率で並べている。