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「えっ、甲子園《神整備》の売上って数%なの?」公園やJクラブの芝生管理…阪神園芸の“知られざる業務”を社長に聞いた
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph bySatoshi Shigeno/Hanshin Engei
posted2021/10/01 11:04
神整備でおなじみの阪神園芸。緑地管理部など様々な仕事がある
それに加えて金沢さんは「1990年代中盤に名古屋グランパスエイト(当時)と清水エスパルスの練習場の芝生の管理も担当していました」とのこと。また、ここ近年でも阪神園芸はJ1クラブの練習場の芝生管理をしていた期間があったという。うーむ、サッカーなどでも存在感を発揮しているとは。
会社概要を眺めて感心するばかりの中で、久保田社長はこうも話してくれた。
「スポーツ面において一番ご興味を持っていただけるのは、やはり甲子園球場の土ですね。ご覧いただいた通り、土の材質や整備の方法論など、甲子園球場をよくご存じの方からは、それに近いものができるのでは、という期待を持っていただいていると感じています」
甲子園球場における売り上げの割合は、ごく数%
あれだけのスーパーな仕事ぶりを見れば、久保田社長の説明も納得である……のだが、それとともに驚いたことがある。
「実は、甲子園球場における弊社の売り上げの割合は、ごく数%なんですよ」
えっ、そうなんですか?
なんと、阪神園芸の《主たる事業》が甲子園球場と思いきや……内心慌てながら「LIFE WITH GREEN」という表紙の同社のブランドブックをめくると、こんな言葉が記されている。
《「阪神園芸」とえいば、阪神甲子園球場のグラウンドキーパーを思い出す人が多いだろう。突然の土砂降りで水浸しになったグラウンドを瞬く間に回復させ、再開不可能だと思われた試合の数々を成立されてきたことから、“神整備”とも言われている。
そんな阪神園芸の主たる事業は総合緑化。言うなれば緑化のエキスパートだ。緑地に関する調査や企画・デザインから施工、維持管理はもちろん、公園施設などの運営管理まで一貫して行なっている》
メーン事業は、都市緑化なのである。1968年に創立した経緯について、久保田社長はこう説明してくれた。