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〈47年ぶりの三冠達成〉21歳早田ひなが明かす“出られなかった東京五輪”「めちゃくちゃありがたみを感じました」

posted2021/10/07 17:00

 
〈47年ぶりの三冠達成〉21歳早田ひなが明かす“出られなかった東京五輪”「めちゃくちゃありがたみを感じました」<Number Web> photograph by Ai Hirano

アジア選手権で日本勢として47年ぶりの三冠(混合ダブルス、団体、シングルス)を達成した早田ひな

text by

高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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Ai Hirano

ドーハで開かれた卓球のアジア選手権で、21歳の早田ひなが快挙を成し遂げた。女子団体、混合ダブルス、シングルスすべてで優勝し、日本勢では74年大会の枝野とみえ以来47年ぶりの「3冠」を達成した。そこで『Sports Graphic Number』の最新インタビューを特別に掲載する。

【初出:Sports Graphic Number 1036号(2021年9月24日発売)Tリーグ4連覇に向けて「喜ぶ顔が見たいから」/肩書などはすべて当時】

 リザーブとして参加した東京五輪の経験を糧に、世界選手権の代表権獲得など着実に成長を続ける早田ひな。既に3年後のパリの舞台を見据える21歳に、五輪で芽生えた“新たな思い”や、9月に開幕したTリーグへの意気込みを聞いた。

◆◆◆

 東京五輪が幕を下ろし、アスリートたちは2024年パリ五輪に向けて走り出している。

 女子卓球の早田ひなもその一人だ。

サポート役に徹した東京五輪「いい経験ができた」

 東京五輪ではリザーブとして日本代表の伊藤美誠、石川佳純、平野美宇をサポート。団体銀メダルと伊藤の混合ダブルス金メダル、シングルス銅メダル獲得に貢献した。代表選手たちの活躍を目の当たりにして、特に伊藤と平野は同い年ということもあり、さぞ悔しい思いをしただろう。

 ところが本人は「いい経験ができた」と目を輝かせる。

「練習相手をして球拾いをして、練習以外の時間は全て選手の休憩や着替えなど準備に使ってもらえるよう先回りして、本当に細かいところまでサポートしました。そのおかげで自分が試合に出るときはいつも周りにやってもらってるんだと気づくことができて、めちゃくちゃありがたみを感じました」

 練習拠点である大阪・貝塚市の日本生命に戻ってからは、練習相手に対しそれまで以上の感謝が芽生え、チームのために勝って恩返しをしたいという思いが強くなったという。

 そしてその思いは東京五輪直後の8月下旬に開かれた、世界選手権ヒューストン大会(個人戦)の日本代表選手選考合宿へと向けられた。

五輪直後から強化したのは“対応力の幅”

 今年11月に開催される世界選手権ヒューストン大会はシングルスの代表枠が5枠あり、女子は東京五輪でメダルを獲得した伊藤、石川、平野の3人がすでに代表に決定。残りの2枠を代表選考合宿のリーグ戦で争うこととなった。

 そこには各年代の全国大会で優勝した中学生や高校生らも出場し、現在世界ランキング26位('21年9月現在)で日本女子6番手の早田は、自分よりランキングが下の選手と戦う場面が多かった。

 そうなることを見据えた早田陣営は東京五輪直後から、対応力の幅を広げるための強化に乗り出していた。

【次ページ】 早田が克服した“意外な弱点”

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早田ひな
日本生命レッドエルフ

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