その九州アスティーダと日本生命レッドエルフは9月10日の開幕戦で対戦し、早田は第2マッチのシングルスに登場。個人としても初対戦のインターハイ3冠女王、横井咲桜と激突した。

　相手は全力で向かってくる17歳の新鋭だ。威力のある横井のバックハンドや回転が読みにくいサーブに押され気味になる場面もあったが、慌てず冷静に対応し、ゲームカウント3-1で横井の猛攻を退けた。

　向かってくる相手の場合、気持ちの面で受け身に回り、足元をすくわれることがしばしばある。

「あの負けた試合は私にとってすごく大事」

　昨シーズンも忘れられない敗北を味わった。優勝決定戦プレーオフファイナルで木下アビエル神奈川の木村香純に敗れた第3マッチだ。第1ゲームを取りながら、そこから3ゲーム連取され痛恨の逆転を許した。1カ月前の全日本選手権後、疲労で足に痛みが出て休養を取り試合勘が鈍っていたこともあったが、「相手が思い切り打ってくる選手で自分が怯んでしまった部分もあった。あの負けた試合は私にとってすごく大事」と、木村との一戦を位置づける。

　そして今回、高校生の横井に勝った試合については、「相手が思い切って打ってこられない所に、どう上手くコースを打ち分けられるかが重要なポイントだった。昨シーズンの反省を生かすことができた」と自身の成長を悟る。

　この試合では、東京五輪後に習得したYGサーブ（ヤング・ジェネレーション・サーブ）でもポイントを奪った。男子選手には一般的な横回転のサーブ技術だが、女子で使う選手は少ない。そこで早田はこのYGサーブを身につけ武器にしようと考えたのだ。

　こうした貪欲な姿勢には、「世界選手権で金メダル。パリオリンピックで金メダルが目標」と言う彼女の意識の高さと進化が見て取れる。

©Ai Hirano

元代表監督も信頼する“圧倒的な勝負強さ”

　早田の強さは、わずか1ゲームで勝敗が決まるビクトリーマッチでも発揮される。

　3マッチ先取の団体戦で競うTリーグには独自のルールがあり、第4マッチまでに勝負がつかない場合、第5マッチにビクトリーマッチが行われる。

　そこには当然、各チームのエースが起用されることが多いのだが、早田も昨シーズン、プレーオフファイナルを含め女子トップの6回出場で5勝（1敗）している。

　この信頼性の高さに、「今シーズンの開幕戦も、何があっても最後はひなで行くと決めていた」と言ったのは総監督の村上恭和。日本生命レッドエルフを3連覇に導き、かつて日本女子代表監督として'12年ロンドン五輪で団体銀メダル、'16年リオ五輪で団体銅メダルを獲得した手腕の持ち主だ。

　名将の熱い言葉を受けて早田は言う。

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