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〈47年ぶりの三冠達成〉21歳早田ひなが明かす“出られなかった東京五輪”「めちゃくちゃありがたみを感じました」
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byAi Hirano
posted2021/10/07 17:00
アジア選手権で日本勢として47年ぶりの三冠(混合ダブルス、団体、シングルス)を達成した早田ひな
「相手のボールがチャンスボールのように見えたとしても、回転によってはピンチなボールだと自分では思うようにして、丁寧にコースを突いたり打球に回転をかけたりしました。その結果、凡ミスがすごく少なくなって、自分が思っていた以上に楽に勝てました」
パリ五輪出場を目指す早田は日頃から世界を意識し、特に最強軍団の中国との対戦を想定してパワーのある男子の練習パートナーと打ち合っている。そのためパワーの少ない女子選手とラリーをするとボールが軽く感じ、早田の打球が飛び過ぎてしまうことがあるのだ。
この課題を見事克服し、世界選手権の代表権を獲得した早田は言う。
「中国人選手と戦うときは100%のパワーで強打していくんですが、相手によっては60~70%くらいの力で打って、その中でコース、回転量、緩急などを工夫しながら、自分の強みである中陣からのパワードライブを打ち込んでいます」
過酷なスケジュールになっても「Tリーグに参戦する」理由
9月に入ると、'18年の創設から4季目の「ノジマTリーグ2021-2022シーズン」が開幕。早田の所属する日本生命レッドエルフは4連覇を狙う強豪チームで、開幕戦から3連勝している(9月17日現在)。
早田はその日本生命レッドエルフのエースであり、Tリーグの顔でもある。
リーグの開幕前から積極的にイベントに参加し、実際にリーグが始まると、当時東京五輪の日本代表争いで国際大会を転戦していたにもかかわらず、できる限りTリーグに出場した。時には試合会場から直接ワールドツアーに向かうことも。
'19年9月のことだ。山梨県甲府市から羽田空港への移動中、台風の影響で電車が遅延。飛行機の出発も遅れて、日本から約1万8000km離れた南米パラグアイに2日半がかりで到着し、ぎりぎりで試合に間に合うという過酷な経験もした。
「今はコロナ禍で海外の選手の出場がままならない状況ですが、国内のトップ選手の多くがTリーグに参戦しています。そういう中で試合が出来るのは嬉しいことですし、今シーズンは新たに九州アスティーダさんが参戦して、佐藤瞳選手や橋本帆乃香選手といった世界に通じるカットマンもいるので、さらにレベルが高い。自分にとっていい経験になると思っています」