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《北京五輪シーズン到来》“金銀銅メダル”獲得から4年、エース高木美帆の変貌…同学年&五輪連覇の川井梨紗子の言葉に「改めて考えさせられた」
posted2021/09/28 11:04
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
KYODO
東京五輪が幕を閉じ、季節はすっかり秋。あと4カ月あまりで北京冬季五輪がやってくるのだから、時間が経つのは早い。スピードスケートのエース・高木美帆(日体大職員)は、「東京五輪が終わって、急に周りの空気も冬にシフトチェンジされたという感覚があります」と気を引き締めている。
中学3年生で2010年バンクーバー五輪に出場した天才スケーターは、14年ソチ五輪でまさかの代表落ちを経験。そして「平昌五輪は人生を懸けて挑む。自分のすべてを懸ける」と決意して18年に挑んだ。その結果、見事に金・銀・銅メダルを獲得した。
代表落ちから平昌五輪まで「走り続けた」4年だった
ソチ五輪から平昌五輪までの4年間を、高木はこのように振り返る。
「平昌五輪の時は、そこまでずっと走り続けていたという感覚がありました。そのシーズンだけではなくて、(15年に)ナショナルチームが始動して、ヨハン(・デビット)コーチが来て、どんどん自分のタイムが伸びたり、いい順位が取れるようになったりしていった先に、平昌五輪がありました。どこまでいけるかという挑戦みたいなところがありました」
それから4年。平昌五輪直後のシーズンは、ソチ五輪後と同じようなモチベーションを取り戻せず、苦しんでいる様子を見せることがあった。ただそれでも、気持ちに炎が灯る時に備えてやるべきことは精一杯やっていた。そのおかげで、好成績を持続したまま3年間を過ごし、良い状態で北京五輪シーズンを迎えようとしている。
北京五輪は「平昌とは全然違った大会になる」
そして高木は今、平昌五輪前と異なる思いを抱いている。
「北京五輪は、平昌とはまた違うと感じています。(平昌五輪後の)最初の方にあった葛藤にも向き合って、それを越えてきたという積み重ねもあります。そういう意味で、自分にとっては全然違った大会になります」
スケートの技術やレース戦略の面でも高木は成長をはっきりと感じている。
「平昌五輪後の3年間で少しずつ積み上げてきたものがあり、自分の中でしっかりしたものが出来上がっているという感覚があります。今はそれを最高のものにして、北京五輪にぶつけてみたいという思いがあります」