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オシムが示す日本サッカーの到達点とは? 「知性がとても重要だ」「誰もが日々、日本から学んでいる」…
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/09/23 06:02
07年、日本代表監督時代のオシム。09年に日本を離れ、現在はオーストリアの自宅で療養しつつ、世界のサッカーを眺め暮らしている
――麺を食べました(笑)。
「私がそれを知りたかったのは、近くにいい中華レストランがあるからだ」
――ええ、ジョーの店ですね。
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「彼は私のために常に何か特別なものを用意してくれる。中国料理は本当に豊かで、常に世界に彩りを添えている。驚きの料理を提供する。彼らの技量は素晴らしく、中国の歴史はそのまま世界の歴史でもある」
――そうかも知れません。
「それは日本も同じだ。誰もが日々、日本から学んでいる。街に出ればそこで何かを学ぶ。何か新しいものを。
優れたものは優れたものとして認める。そこから進歩が生まれる。やがてはコロナも克服できる。
まず進歩をしてそこから利益を得る。そうすればどうすれば防げるかもわかるだろう。待っているだけのときはもう過ぎた。世界は戦っている。ふたりのボクサーの闘いだ。ひとりは倒れ、もうひとりはまだ立っている。コロナは立ち、世界はマットに沈んでいる。特効薬はいまも発見されていない。どうすればいいかもわかっていない。誰もが不安を抱えたままだ。コロナは私たちが想像していたよりずっと強力だった。
今、私たちはこれまでよりもずっと早く仕事をすることを強いられている。特効薬の開発において。しかし2~3日で成し遂げられるものではない。もっとずっと時間がかかる」
サッカーの進歩と生きることの共通点
「そしてそれらの経験をしっかりと蓄積して、同じ過ちを繰り返さない。忘れたり、なかったことにはしない。われわれのおこなうすべてのこと、生きたり食べたりのすべてだ。
モンビュウ、これもまたサッカーだといえる。サッカーも同じように進歩するからだ。最高のサッカーを見れば、新たな喜びを得られるし身体的にもリフレッシュできる。知的にもなれる。どう金を使うべきかのノウハウも得られる。どうすればさらに進歩するか。どの部分なのか。フィジカルなのか戦術なのか、それとも競技規則であるのか……。そうしたことすべてがわかる。そこから新たな法則を見出していかねばならない」
――サッカーをより広い枠組みの中で捉えることが大事なのですね。
「何が問題であるのかを明らかにする。何をすればいいのかをハッキリさせる。というのも日々、考えていかねばならない問題があるからだ」