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オシムが示す日本サッカーの到達点とは? 「知性がとても重要だ」「誰もが日々、日本から学んでいる」…
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2021/09/23 06:02
07年、日本代表監督時代のオシム。09年に日本を離れ、現在はオーストリアの自宅で療養しつつ、世界のサッカーを眺め暮らしている
「すでに私たちは十分な水を確保するために、水を買うことを考え始めている。水がすべての人々にいきわたるように。あるいは食料をすべての人々にいきわたらせる。調理する余裕がなく、何でも生のまま食べざるを得ない人々に、どうすれば調理したものを提供できるか。どうやって食べさせるか。サッカーでも何かを見いだせるだろう。
妻が少しイライラし始めた(笑)。実は今、家の周囲の草刈りを頼んでいて、その出来が気になっているんだ」
(アシマ夫人と電話を代わる)
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アシマ夫人:今日は30分話しましたが、ドクターからは電話は最大限でも15分に留めるようにとアドバイスされています。(しばらく雑談の後)イバンがもう少し言いたいことがあるそうです。
(再びオシムと代わる)
日本サッカーの到達点
「君らは遠からず100%海外組の日本代表を実現するだろう。そうして日本は素晴らしくなっていく。全員が海外でプレーする選手で構成された日本代表だ。それはメッシやサラー、中田英寿らでチームを作るのと同じことだ。不可能とは誰も言えない。
オーストリア代表にも数人の外国出身選手がいる。彼らは帰化して国籍を取得した。今のオーストリア代表は国際色豊かな混成チームだ。日本で同じようなことが起こっても恐れる必要はない。日本にもそのうちレアル・マドリーのようなチームができるかもしれない。誰か熱心な人物が大物選手を買い集める。
サッカーがこれからどうなって行くか見てみよう。たとえば中国の動向に注意を払い、選手を観察してスカウトすることは可能だ。中国人で構成されたチームが日本に生まれる。日本はスタジアムをはじめ最高の環境を整えている。観客も素晴らしい。そうしたところに到達すべきだ。
サリュ、ア・ビアント」
――メルシー、イバン。
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