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“鉄人”遠藤航すら動きが重かった…森保監督の「ラージグループ」構想はどこへ行ったのか?<日本代表の論点>
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2021/09/15 17:02
アジア最終予選の初戦、オマーン戦で指揮をとる森保監督。手痛い敗北を喫し、今後の選手起用などに変化は起きるか
オマーン戦の敗北が突きつけているものとは?
2019年9月にカタールワールドカップアジア2次予選がスタートしたのを機に、ローテーション色は薄まっていく。多少の入れ替えはあっても、新しいカタチを生み出すまでには至らない。もちろんA代表と五輪代表間の融合は進められたのだが、欧州や国内の他のA代表候補までの広がりは思ったほどではなかった。コロナ禍の影響もあっただろうし、公式戦になればベストメンバーで行くというスタンスも理解できる。ただ選択肢を増やすための次の展開が止まってしまったのは個人的には残念であった。
アジア最終予選がついに始まった。
吉田麻也キャプテンが試合後のフラッシュインタビューで口にした「負けるべくして負けた」オマーン戦の敗北が突きつけているものは一体何か。
選手たちの動きはかなり悪かった。欧州組はシーズンが始まったばかりで、東京オリンピックでの疲労が抜け切れていない選手もいた。9月初めの2連戦のうち一発目の試合が難しくなることは、5年前のアジア最終予選UAE戦の敗北からもある程度予想できたはず。それでも指揮官はベストメンバーの招集にこだわった。移籍や移動の関係からオマーン戦に合流できない選手、ケガで離脱する選手がいる不運はあったが、積み上げてきたもの、代表選手としてのプライドがあれば、多少コンディションに難があろうともそこを乗り越えてくれるだろうという期待があったからではなかったか。
ヘトヘトではミッションを果たせない
目標に対しては逆算が必要である。
先の東京オリンピックでは金メダルを目標に置いた。真夏の環境下において中2日で6試合をこなさなければならない。金メダルをもぎ取るには6試合目に入ってヘトヘトであってはきっとミッションを果たせない。
日本は世界のサッカー強国ではない。余裕を持って決勝まで勝ち上がれるほどのレベルには届いていない。ならばA代表との融合を図りながら成長させてきたメンバーを有効活用して、22人全員の力で乗り切っていくプランだと受け取った。