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“鉄人”遠藤航すら動きが重かった…森保監督の「ラージグループ」構想はどこへ行ったのか?<日本代表の論点>
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2021/09/15 17:02
アジア最終予選の初戦、オマーン戦で指揮をとる森保監督。手痛い敗北を喫し、今後の選手起用などに変化は起きるか
“チームの心臓”遠藤航がいつになく重く映った
参加国中唯一グループリーグを全勝で突破したまでは良かった。選手のコンディションに配慮した采配もあった。しかし結果的に、メダルが懸かった6試合目となる3位決定戦メキシコ戦では力尽きた感がある。
チームの心臓を担う遠藤航の動きが、象徴していた。いつになく重く映った。グループリーグ第3戦のフランス戦こそ後半途中で交代したが、彼は準々決勝ニュージーランド戦と準決勝スペイン戦で120分フルに戦っていた。「鉄人」とはいえ人間である。相棒の田中碧や吉田らが全試合に先発する一方で、出場機会のなかった選手、わずかな出場時間で終わった選手もいた。
選手たちの頑張りには称賛以外の言葉はない。森保監督もいいチームをつくった。だが、最良の準備をしてきたチームがメダルを獲れなかった事実もさることながら、メンバーをうまく回していくというラージグループの成果を示すトライに踏み込まなかったことも口惜しく感じた。
余力を残している強豪国にベスト16で勝つには?
最終予選の初戦で黒星を喫して来年のカタールワールドカップのことを語るのは少々気が引けるものの、本大会でベスト8以上という目標を立てるならば逆算して戦っていかなければならない。気合いやプライドだけで何とかなるものではない。余力を残して決勝トーナメントに進んでくる強豪国にベスト16で勝つには、どうすればいいのか。やはりメンバーの有効活用がカギを握る一要素になってくるのではないだろうか。
オマーン戦でも、1-0で勝利した中国戦でも遠藤はさすがの働きを見せてくれた。だがもしまた働き詰めになったら、最終予選の終盤戦に影響が出やしないか心配にもなってくる。
大黒柱の大迫勇也が不在の場合、オプションとなるフォーメーションなど、選択肢を増やしていくことを考えていくのであれば、やはりラージグループがヒントになる。それこそが指揮官が選手に求める「臨機応変」にもつながる。ベースを動かさなくとも相手によって、戦術によって、コンディションによってベストと思うプランをチョイスしていく。