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“8強”の陰の立役者セッター関田誠大が語る「世界に勝つための必須条件」とは? ポーランド移籍は“後輩”石川祐希の変貌ぶりが決め手
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byItaru Chiba
posted2021/09/08 11:00
華麗なパスワークや効果的なサーブなど、29年ぶりとなる五輪ベスト8入りを支えたセッター関田誠大。海外移籍を決断し、さらなる成長を誓った
とはいえ、オリンピックでは相手ブロックが日本のクイックに釣られ、アウトサイドからの攻撃が決まりやすくなるシーンも目立った。打数、決定率などの数字には表れていないが、クイックが相手の印象に残り、一定の効果を発揮した証拠である。
「山内晶大(パナソニック)はスパイクの球も、テンポもはやくなりましたね。彼は崩れたレセプションでもクイックの動作に入ってくれますし、そういう悪い状況でクイックを打つのが好きなんですよ。一緒にやっていて楽しいです。(日本代表のフィリップ・)ブランコーチの影響はもちろんですけど、パナソニックでポーランド代表の(ミハウ・)クビアクと一緒にプレーしているのが大きいと思います。(スパイカーの)クビアクが山内にクイックのトスを上げることもあるので、いつでも対応できるようにという意識が高くなったんじゃないかと思います」
個人の努力がそれぞれのプレーの幅を広げ、29年ぶりとなるオリンピックでの勝利へとつながってきた。
今季からは石川に加えて関田と西田も海外チームで揉まれることになるが、それぞれの選手が、それぞれの場所で強豪国との差を埋めるための努力を続けることが、やがてチームの力を育む糧になるはずだ。
石川との出会いで変わったインサイドワーク
ところで、今でこそクイックやbickを軸とする配球に定評がある関田だが、攻撃の組み立てにおけるインサイドワークはどのようにして培ってきたのだろうか。
「センター線を使うことが大事だと思うようになったのは大学で石川に出会ったときです。同じチームに石川が入ってきて、では石川を軸にどうアタッカーを使えば試合に勝てるのか、石川やほかのアタッカーを生かせるのかを意識してからだと思います」
最初は相手のブロックを観察し、ブロックがマークしていないポジションに上げていたが、徐々に伏線を張ることなど、1セット、1試合における組み立てを意識するようになったという。
同時に2017年、ブランがコーチに就任し、相手ブロックに対して数的有利な状態を作ることの大切さを説いた。
「ワールドカップ、ネーションズリーグなどで試合を経験して、手応えは感じていますね。どこの国のトップのセッターを見ても、クイックを当たり前のように使っていますし、そこの決定率を上げていくことで相手のブロックも分散する。世界ランキングの上位をねらうチームの必須条件だと思っています」