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開幕から1カ月全3試合に出場…“久保建英のマジョルカ序列はどうなっている?”パーソナルコーチが徹底解説する
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/09/01 17:01
マジョルカへの期限付き移籍が発表された3日後に、ベティス戦で「再デビュー」を果たした久保建英
パフォーマンスも評価に値するものでした。主にトップ下からやや右サイド寄りの中間ポジションでパスを受け、攻撃にリズムを生み出していました。
ボール保持者の視界から消えることはなく、守備側を悩ませる立ち位置を取り続けていました。「このタイミングでパスが入れば、決定機な形を作れる」という場面もあり、残念ながらその瞬間にパスが出てこないこともありましたが、周囲とのコンビネーションにギクシャクとしたところはありません。
一昨シーズン在籍時のチームメイトがおり、ヘタフェとビジャレアルの僚友もいます。シーズン開幕直前の合流だったにもかかわらず、マジョルカでの最初のシーズンや昨シーズンより素早くチームにフィットできている。ラ・リーガでプレーをしてきた彼自身の積み重ねが、新天地で生かされていると言えるでしょう。
第3節)キーパス&強烈シュートでゴールに迫る
現地時間8月27日に行なわれた第3節では、4-2-3-1の2列目右サイドで先発しました。この試合では決定的なシーンに関わりました。
まずは21分です。右サイドのハーフスペースで右CBからの縦パスを受けにいき、身体の向きの変化だけで相手をかわします。そのまま内側へコースを取って相手を振り切り、1トップのフェルナンド・ニーニョの動き出しに合わせて左SBと左CBの間へスルーパスを通しました。ビジャレアルでともにプレーしたフェル・ニーニョへの最高のアシストでしたが、シュートは決まらずにアシストではなくキーパスとなりました。
アシスト未遂といった俗語も使われるキーパスは、前回の所属時もかなりの数にのぼりました。今回はアタッカー陣に決定力を発揮してもらい、久保により多くのアシストがつくようになってほしいものです。
久保自身もゴールに迫りました。2本の際どいシュートを放ちました。いずれも右サイドからのカットインシュートで、1本目はインカーブの軌道で枠を捕らえ、2本目はストレート系の強い一撃がバーをかすめるように逸れました。