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プロスカウト「大阪大会から気になっていた」大阪桐蔭の迫力不足 打力や試合勘ではない“もう1つの武器の異変” 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/08/24 11:03

プロスカウト「大阪大会から気になっていた」大阪桐蔭の迫力不足 打力や試合勘ではない“もう1つの武器の異変”<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

15年ぶり2回戦敗退となった大阪桐蔭。西谷監督は敗戦を自らの責任とした

「突出した選手はいないがどの打順でも長打を」

 ところが、今春のセンバツはランニング本塁打を含む9本塁打。2003年以来、18年ぶりに1ケタに終わった。こうした傾向の理由に新型コロナウイルス感染拡大の影響が挙げられたが、無関係と言わんばかりに格の違いを見せつけたのが大阪桐蔭だ。

 降雨コールドで勝利した初戦の東海大菅生戦では3本塁打。今大会19本塁打のうち、大阪桐蔭が4本を占めている。

 プロ野球のスカウトは「今年は突出した選手はいないが、下位打線も振りが鋭い。どの打順でも長打を期待できるのが最大の特徴。絶対的な選手やスター選手が1、2人いる打線よりも相手バッテリーを疲れさせ、プレッシャーを与えられる」と語る。

 OBの中日・平田良介や巨人・中田翔、西武・森友哉のような圧倒的な存在感を放つ選手はいない。ただ、少しでも隙を見つければ、少しでも甘い球がくれば、打順に関係なくスタンドまで運ぶ。この試合で放った8番・松尾の打球は象徴的だった。

 新型コロナウイルス感染拡大と雨による度重なる順延で、多くのチームが全体練習や実戦の不足による試合勘を不安材料に挙げていた。どこも条件は同じ。大阪桐蔭の西谷監督は「コロナも雨も含めて勝っていけるチームにならないと、日本一には届かない」と力を込めた。

「盗塁やエンドラン時のスタートが」

 実戦感覚を養えない中で、大阪桐蔭の打線はさすがだった。ただ、例年は打力に加えて、相手に脅威を与えていたもう1つの大きな武器が迫力を欠いたという。

「大阪大会から気になっていたが、近江戦でも盗塁やエンドランの時の走者のスタートが良くない。相手投手のけん制の技術を見ると、リードもあと一歩、二歩大きく取れる。豪快なスイングのイメージが強いが、足でバッテリーにプレッシャーをかけて、リズムを崩したり、打者に狙い球を絞りやすくさせたりするのが、継承されている大阪桐蔭の野球」

 プロ野球のスカウトが大阪桐蔭の“異変”を感じたのは「走力」だったのだ。

 近江戦の象徴的な場面として挙げたのが、同点の8回1死一塁の場面である。6番・宮下は、1ボールから4球続いたスライダーで左邪飛に打ち取られた。続く打者の初球に、代走で起用された一塁走者の石川雄大が盗塁を試みたが、近江の捕手・島滝悠真に阻まれて攻撃を終えた。盗塁失敗は、この試合チーム2つ目。成功はなかった。

【次ページ】 西谷監督が試合後に話していたこと

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