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札幌ドームが五輪会場で使えない…“世紀の祭典”の陰で奔走したスペシャリストたちの舞台裏 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/08/15 06:00

札幌ドームが五輪会場で使えない…“世紀の祭典”の陰で奔走したスペシャリストたちの舞台裏<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

7月14日、帯広の森野球場で行われたオリックス戦。日本ハムは6回に逆転し、最後は帯広市出身の杉浦稔大が締めて6-2で勝利した

 このファイターズの2カ月間を的確にマネジメントした部隊もいた。ゲームオペレーショングループという部署である。地方での公式戦とエキシビションマッチの興行を、チームを含めた意向を汲み取りながらスケジュールを調整した。

 足掛け2年に及ぶ、労苦が今年で報われたのである。

 昨年、新型コロナウイルスの影響で公式戦の日程が大きく変更された。2020年も那覇、静岡など今シーズン同様に主催試合を予定していたが、キャンセルせざるを得ない事態に陥った。そして今年へと持ち越されて組み直されたのである。昨年はキャンセルの事情説明と、今シーズンに再度主催する旨の申し入れを行い、無事に開催することができた。北海道から現地まで何往復もして仕切り直したのである。

 東京オリンピックで公式戦が中断している期間は、さらに難儀な調整を強いられた。

 昨年、オリンピックが予定通りに開催されていた場合、今シーズンのエキシビションマッチのような興行が予定されていた。それに対応できる12球団の本拠地のうち6球場が確保できていた。今年はそれができずに苦慮。もともと札幌ドームが使用できないことが確定していたため、ファイターズ主催で準備できる球場の選定に昨年から奔走した。

 いくつかの候補地の中から2017年に公式戦を開催して以来、4年ぶりとなる函館で5試合を組むことに決めたのである。横浜DeNAベイスターズと読売ジャイアンツを迎えた。事前準備のためにゲームオペレーショングループの担当者らは、札幌から函館まで約300キロを7~8回程度、往復したという。

 函館市を含めた自治体関係者と、警察署や消防署などと入念に打ち合わせを重ねて実現へとこぎ着けた。担当者は函館シリーズの5日前に、当地入り。最後の最後まで不備のないように、地元のスタッフらと開催マニュアルを整えて、シミュレーションをしたのである。

【次ページ】 栗山町民球場での練習

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