プロ野球PRESSBACK NUMBER
「いつだって震えている」ロッテ田村龍弘は”信頼”をどう積み重ねてきたのか? キャッチャーという過酷な仕事のウラ側
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph bySankei Shimbun
posted2021/08/14 11:02
3月28日、プロ初登板となった鈴木昭汰(左)に声をかける田村龍弘。今年で27歳、今や若手投手に頼られる場面も増えてきた
大事にしていることがある。投手とのコミュニケーションだ。
理想はすべての投手とリードをする指で会話を成立させること。そのために大事なのは日ごろから考えを理解し合うことだ。「ただ、話をすればいいというわけではない」と田村は強調する。
「単にストレートを打たれたから変化球がよかったねという話ではなくて、その1球にどう思ったのか。自分がストレートのサインを出した時になにを思ったのか。打者の雰囲気をどう感じていたのか。もし(投手が)変化球がいいと思っていたのなら、それはなぜで、なぜその時は首を振って変化球を投げたいという意思を表明することはなかったのか。そのすべてを把握することで次につながると思っている。
そしてこちらも同じ。なぜあのカウントであのボールを投げて欲しかったのか。意図を分かってもらいたいと思っている」
理想はジェスチャーなし
捕手にはリードと同時にジェスチャーで指示を行うことがある。
「低め、低め」
「広く、広く」
「インコース厳しく、甘くはなるな」
「ワンバウンドでもいいから、思いっきり低めに」
よく見る光景だ。一番の理想はこのジェスチャーをすることもなく、お互いが次のボールをどのように投げればいいか分かっている状態となる関係性を作りあげることだ。
最近は投手から「きょうは田村のリードに任せる」と言われることが増えてきた。それは阿吽の呼吸が出来ている証である。「めちゃくちゃ嬉しいけど、めちゃくちゃ緊張する」と田村は笑う。