炎の一筆入魂BACK NUMBER

中断期間、打率5割の野間に左翼定着を狙う中村奨…カープ再建の鍵は次世代の主力がもたらす勝利にあり 

text by

前原淳

前原淳Jun Maehara

PROFILE

photograph byJIJI PHOTO

posted2021/08/12 11:02

中断期間、打率5割の野間に左翼定着を狙う中村奨…カープ再建の鍵は次世代の主力がもたらす勝利にあり<Number Web> photograph by JIJI PHOTO

2014年のドラフト1位で入団した野間だが、過去6シーズンは怪我があったり不調があったりと、ルーキーイヤー以上のインパクトを残せていない

 17年の夏に1大会の歴代最多本塁打記録を塗り替え甲子園を沸かせた中村も、4年目を迎えた。捕手としての信頼度はまだ低く、今季は前半戦36試合出場も、スタメンマスクは3度。定評のある打力と走力を生かすため、今季から取り組む左翼での出場機会を増やした。中断期間はより左翼に重きを置いた。派遣された二軍戦を含め12試合あったスタメンの中、捕手でスタメン出場したのは7月22日ウエスタン・リーグのソフトバンク戦1試合のみ。ほか11試合は左翼手だった。

「もう4年目。結果が求められる立場になった。後半戦は前半戦以上の結果を残さないといけない。試合に出られるのであれば、レフトでレギュラーを取るくらいの気持ちでやりたい」。チームだけでなく、中村奨にとっても野球人生において大きな分岐点に立っているといえる。

3点差ゲームで確実に勝つために

 五輪による中断期間ができたことで、エース大瀬良大地がコンディション回復に充てられたことは大きなプラスだった。先発陣が安定すれば反攻態勢も整う。前半戦の低迷も、大瀬良離脱から始まったといえる。東京五輪でおそらく経験したことのない重圧の中戦ってきた森下暢仁の反動は心配されるが、2投手と九里亜蓮の3本柱はリーグでも屈指といえるだろう。

 セ・リーグの上位3球団が3点差以内の試合を勝ち越しているのに対し、下位3球団はいずれも負け越している。広島は19勝22敗だった。緊張感の高まる接戦で状況に応じた判断、プレーができる精神力と技術、そこで勝ち切る力がチーム力となっていく。

 長丁場のペナントレースは勝っても、負けても、明日がある。厳しい状況でも、その先がある表彰台を諦めてはいけない。アスリート、そしてチームがはい上がる姿もきっと、見る者の心を動かすに違いない。

関連記事

BACK 1 2 3
広島東洋カープ
野間峻祥
中村奨成

プロ野球の前後の記事

ページトップ