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過去20年で最高の外野手は誰だ?
~記録で見る真実の「守備力」~
text by
田端到Itaru Tabata
photograph byHideki Sugiyama/Shigeki Yamamoto/Masashi Ebata
posted2010/01/08 10:30
過去の名手も含めて、もっとも優秀な外野手は誰か――。
このところ当コラムで守備の記録に関する話を続けていたら、そんな質問が複数届いた。秋山幸二か、飯田哲也か、新庄剛志か。あるいは意外な名前が浮上するのか。
今回は過去の名外野手たちのRF(レンジファクター)を紹介しよう。1試合平均いくつのアウトに寄与したかを表す数字で、今回も出場イニング数ではなく、出場試合数を用いた簡易版である。
この指標では、フライを捕ったアウトも、バックホームで走者を刺したアウトも同等に扱われるため、肩の強さや進塁を防ぐ能力が過小評価されてしまうことを了承していただきたい。総合的な守備力というよりも、「守備範囲の広さ」を示す。
セ・リーグ過去20年間において異常に高いRF値の選手が!?
1991年から2009年までの記録を表にまとめた。
以下は各シーズンのリーグ別レンジファクター1位の外野手の一覧である。
●セ・リーグ 年度別レンジファクター1位の外野手
※ 簡易RF=(刺殺+補殺)÷試合数
※ 赤字は刺殺300以上、補殺10以上、RF2.5以上
年度 | 選手名 | 試合 | 刺殺 | 補殺 | RF |
---|---|---|---|---|---|
1991 | レイノルズ(大洋) | 116 | 233 | 7 | 2.07 |
1992 | 亀山努(阪神) | 125 | 254 | 5 | 2.07 |
1993 | 新庄剛志(阪神) | 102 | 236 | 13 | 2.44 |
1994 | 飯田哲也(ヤクルト) | 115 | 273 | 15 | 2.50 |
1995 | 飯田哲也(ヤクルト) | 129 | 305 | 14 | 2.47 |
1996 | 飯田哲也(ヤクルト) | 102 | 246 | 12 | 2.53 |
1997 | 緒方孝市(広島) | 134 | 317 | 10 | 2.44 |
1998 | 新庄剛志(阪神) | 124 | 268 | 12 | 2.26 |
1999 | 波留敏夫(横浜) | 130 | 296 | 11 | 2.36 |
2000 | 松井秀喜(巨人) | 135 | 278 | 7 | 2.11 |
2001 | 金城龍彦(横浜) | 137 | 281 | 14 | 2.15 |
2002 | 稲葉篤紀(ヤクルト) | 115 | 215 | 5 | 1.91 |
2003 | 金城龍彦(横浜) | 136 | 268 | 15 | 2.08 |
2004 | 多村仁(横浜) | 119 | 243 | 6 | 2.09 |
2005 | 青木宣親(ヤクルト) | 144 | 320 | 3 | 2.24 |
2006 | 青木宣親(ヤクルト) | 146 | 306 | 9 | 2.16 |
2007 | ガイエル(ヤクルト) | 142 | 274 | 6 | 1.97 |
2008 | 青木宣親(ヤクルト) | 112 | 229 | 7 | 2.11 |
2009 | 赤松真人(広島) | 133 | 299 | 6 | 2.29 |
※ 赤字は刺殺300以上、補殺10以上、RF2.5以上
まずセ・リーグで最初に目につくのは、'94年から'96年まで3年連続トップの飯田哲也(ヤクルト)、そのRFの高さだ。2.50、2.47、2.53という突出した数字は、他の追随を許さず、数々の超絶守備でスワローズの黄金期を支えた。
俊足を活かした守備範囲の広さ、捕手出身ならではの小さなスローイングからの強肩。フェンスを駆け登ってジャンプするサーカス・プレー。どこをとってもケチのつけようがない守備の名手だった。