オリンピックへの道BACK NUMBER
“快挙の卓球”と“苦しかったバドミントン” ロンドンの初メダルから9年、何が2競技に「差」を生んだのか
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byL:Takuya Matsunaga/JMPA R:Getty Images
posted2021/08/08 17:03
卓球では初の金メダルを獲得するなど活躍が目立った日本。一方バドミントンでは苦戦する姿が見られた
バドミントンが苦しい結果であったことは確か
卓球は混合ダブルスで水谷、伊藤が中国ペアを破り日本卓球初の金メダルを獲得。伊藤は女子シングルスでも銅メダルを獲得し、団体では女子が銀メダル、男子は銅メダルで終えた。
対するバドミントンは、混合ダブルスで渡辺勇大、東野有紗が銅メダルを獲得したのが唯一のメダル。その他の種目では表彰台に上がれず、近年の国際大会からすると予想外の結果にとどまった。女子ダブルスの世界ランキング1位、福島由紀、廣田彩花は廣田が6月に右膝前十字靭帯を負傷。試合に出られたこと、さらに予選グループを突破したことは高く評価されるべきだが、全体として苦しい成績であったのは否めない。
バドミントン日本代表の朴柱奉ヘッドコーチは大会全体をこのように総括している。
「(オリンピックの)延期が大きいと思います。他のライバルチームも同じですが、コロナで大会がキャンセルになりました。どんどん大会に出ていれば、もうちょっと自信になり、プレッシャーも楽だったと思います」
「チーム全体も、雰囲気がよくなかったですね」
個々にも触れる中で、桃田についてはこう語っている。
「ドローが決まった瞬間、危ないイメージがありました。身長が高い相手で攻撃力があり、どこまでディフェンスができるか話したけれど、ディフェンスができませんでした」
桃田は昨年、遠征中に交通事故に巻き込まれて復帰までに時間を要し、新春、ようやく海外遠征を、というときにコロナに陽性反応を示しキャンセルとなった。タイプ的にも試合で感覚をつかんでいく選手であることから、実戦不足を懸念する声はあったが、その影響は大きかったようだ。
朴ヘッドコーチは、さらにこう続けている。
「チーム全体も、雰囲気がよくなかったですね」
桃田の敗戦は、チームにも影響を及ぼしたことを示唆している。個人競技ではあっても、よい方にも悪い方にも連鎖反応が起きることはこれまでもさまざまな競技で指摘されている。続く選手たちにプレッシャーがかかった面はあるかもしれない。