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“美しい柔道家”は3カ国語堪能、名門ハーバード大卒スプリンター、数学者が金メダリスト… 世界は文武両道のスケールもデカい
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images(L,R)/Takuya Matsunaga,JMPA
posted2021/08/09 06:00
アナ、ビロディド、トーマス……世界にも文武両道アスリートがいっぱいいた
日本にとって今大会メダル第1号となった渡名喜風南と準決勝で激闘を繰り広げたが、長身から繰り出す攻めは迫力十分だった。
インスタをやっていて、道着から普段着に着替えたファッションはネットだけでなくテレビでも脚光を浴びていたが……しっかりと覚えておきたいのは彼女の内面と柔道に熱中したプロセスだ。
学んでいること:ジャーナリズム専攻
話せる言語:英語、ロシア語、ウクライナ語
この2項目だけでも才媛であることがわかる。
母親はもともと新体操をやらせたかった?
なお両親が柔道家であることはすでに報じられているが、もともと母親は「新体操をやらせたかった」らしく、最初は新体操の道を歩んでいた。ただ教えを請うていたコーチが去ったことで、母親が指導している柔道に取り組んでみたところ「私にとってのスポーツだ」と気づいたという。競技人生はどう転ぶかわからないものである。
なお尊敬している柔道家は谷亮子、そして2018年にはなぜかサッカーのスポルティング・リスボンのアンバサダーになっているらしい。こんなマニアックな情報まで載せているのか五輪公式サイトは……ちょっと感心してしまった。
世界遺産をBMXのパークにしちゃった経済学士
(4)イレク・リザエフ/BMXパーク
新種目のスケートボードやBMXに対して「オリンピック的な感覚と合うのかな……」という先入観があったことは正直に記しておく。でも実際に競技を見ると、決してそんなことはないどころか、バキバキ楽しい競技だと知らしめてくれた。純粋に競技が大好きそうな堀米雄斗や四十住さくら、西矢椛、中村輪夢らが見せた超絶技巧と、国籍やメダルの色を問わず称え合う姿に、スポーツ本来の良さを思い出させてくれたからだ。
海外アスリートで面白い経歴だなと思ったのは、自転車のBMXパークのリザエフだ。6位入賞した23歳はロシアのカザン出身だが、地元にある国立大学で経済学士となったそう。
そのかたわら、契約するレッドブルの公式サイトによると……建築家などを巻き込んで3万平方メートルもの敷地をBMXのパークにしたり、ユネスコの世界遺産であるカザン・クレムリン(11世紀建造)の敷地までパークにしちゃったことがあるらしい。
同サイトには座右の銘らしき言葉として「Everything is possible!」と刻まれているが、とにかくスケールがデカすぎる……。