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“美しい柔道家”は3カ国語堪能、名門ハーバード大卒スプリンター、数学者が金メダリスト… 世界は文武両道のスケールもデカい
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images(L,R)/Takuya Matsunaga,JMPA
posted2021/08/09 06:00
アナ、ビロディド、トーマス……世界にも文武両道アスリートがいっぱいいた
そんなアナだが、2011~14年頃まではトライアスロンなどに取り組んでいたそう。「ケガをしてしまい、長期間走ることができなくなりました。その際にサイクリング、特に長距離の山岳レースへの愛を見出したのです」とのこと。
トライアスロンといいロードレースといい、なんで心拍数キツそうな競技にばかり愛が芽生えるの……との思いがよぎったが、学問と肉体の真理を突き詰めたいという姿勢には、頭が下がるばかりだ。
ハーバード大卒→大学院で疫学を学ぶ陸上メダリスト
(2)ガブリエル・トーマス/陸上
オリンピックの花形といえば陸上。女子200mで銅メダルに輝いたトーマスが文武両道の代表格といえるだろう。
2018年と19年のダイヤモンドリーグで優勝経験のある24歳は、アメリカ陸上の象徴的存在であるアリソン・フェリックスに憧れていた……というが、彼女の出身大学はなんと、アメリカの名門中の名門であるハーバード大学である。
アメリカのテレビ局「NBC」の記事を読んでみると、ハーバード大学では「神経生物学とグローバルヘルス」を研究する道を歩んだのだという。なおかつコロナ禍による五輪の1年延期を「大学院に通うためには最適な時期」として、テキサス大学の大学院に入学して疫学について研究しているのだという。
パンデミックを学ぶチャンスだと捉えるだなんて……。学生時代不勉強だった身としては、爪の垢を煎じて飲んだとしても、それを身体がちゃんと取り込んでくれるだろうかと思うほどの向上心である。
“美しい柔道家”として脚光を浴びたあの選手は?
(3)ダリア・ビロディド/柔道
東京五輪の盛り上がりを生む起爆剤となったのは、日本柔道の躍進だろう。大野将平、阿部兄妹らの金メダルラッシュに"上司にしたいNo.1"感のある井上康生監督など、伝統と革新がミックスされた戦いぶりに興奮した人も多かったはず。
それとともに「えっ、柔道ってこんなにも各国に普及しているんだ」と思った人も多いはず。アジアからヨーロッパ、中南米と多岐にわたる中で、序盤戦に注目されたのは女子48kg級の銅メダリストとなったビロディドだった。