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Twitterで話題「サーブミス多くない?」 大一番を前に“ビッグサーバー”越川優(北京五輪代表)に聞いてみた 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYohei Osada/AFLO SPORT

posted2021/08/01 11:03

Twitterで話題「サーブミス多くない?」 大一番を前に“ビッグサーバー”越川優(北京五輪代表)に聞いてみた<Number Web> photograph by Yohei Osada/AFLO SPORT

現代バレーにおいて大きな役割を担う「サーブ」。ポイントを取るだけでなく、相手の陣形を崩すために緻密な分析が行われている

 サーブは団体スポーツであるバレーボールにおいて、唯一の“個人プレー”だ。自分のタイミング、自分が上げたトスで打つのに「なぜミスをするの?」と思う人もいるかもしれない。だが実は、その1本のサーブには、「打つ」だけでなく、さまざまな狙いや目的があると越川は言う。

「たとえば、サーブでターゲットにする相手の右を狙うか、左を狙うか、どちら側に打てば有効なのか。そこで崩れたとしたら、相手はそのローテーションの場合にどの攻撃パターンが多いか。しかもそれはどのコースに打ってくるのか。そういう事前のデータを踏まえて、サーブの狙いどころを考えています。

 また、人ではなくゾーンを狙う場合も決して漠然とではなく、コートを9分割し、それをさらにA、B、C、Dと4つに分ける。『サーブを“6A”に打てば、どの選手が拾い、セッターのトスがどこに上がる傾向があるか』というところまで全て数字で示されています。だから、選手は明確な狙いを持って打っている。『ただアウトになった』ように思われるかもしれませんが、実は相手の攻撃を絞らせるためにきわどいコースを狙った結果でもあるんです」

越川も驚く日本代表の戦術

 男子バレーが前回出場した北京五輪の頃から、すでにアナリストはチームに同行。現在と同様にリアルタイムで情報を収集し、選手やチームにフィードバックされていた。ビッグサーバーと呼ばれるサーブでポイントをもぎ取る越川のような“ジャンプサーブ”と、相手が崩れる確率の高い場所を狙う“ジャンプフローター”を織り交ぜ、チーム全体でサーブ戦術を共有してきたという。

 ただ、当時からサーブに重きを置いていたものの、東京五輪を戦っている日本代表を見ていると、その戦術は格段に進化していると越川は感嘆する。

「北京の頃は基本的に『(相手の)前衛レフトにいる選手を狙う、またはサーブレシーブが不得手な選手を狙う』『この選手はレシーブをした後は攻撃に入ってこない』。(共有していたのは)そのぐらいでした。でも今は数倍進化していますよね。相手のどの選手がどこでレシーブして、それをセッターがどの位置で上げたか。どんな攻撃を展開してきて、何人の選手が攻撃に入ってきたか。そこまで数字が出されていて、じゃあどうやって対策するかと戦術がよく練られている。

 つまり、相手に勝つためにまずベースになるのがサーブ。ジャンプ、フローター、ハイブリッド。種類はそれぞれですが、今の日本代表は全員が戦術、戦略に沿ったサーブを求められていることがよくわかります」

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