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Twitterで話題「サーブミス多くない?」 大一番を前に“ビッグサーバー”越川優(北京五輪代表)に聞いてみた
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYohei Osada/AFLO SPORT
posted2021/08/01 11:03
現代バレーにおいて大きな役割を担う「サーブ」。ポイントを取るだけでなく、相手の陣形を崩すために緻密な分析が行われている
実際、イタリアやポーランドのような格上の相手に対しても、サーブで攻め、狙い通りに崩せた場面では相手の攻撃を封じ、切り返した日本が得点するシーンが多く見られた。
その中心でチームをコントロールしていたのが石川だった。越川は「その時々でどんなプレーをすることがチームにプラスになるか。その(サーブ選択の)1つ1つに意図が感じられてすごくいい」と称賛する。ただ一方で、チーム全体に対しては「少しもったいなかった」と課題を挙げた。それがネットにかかるサーブミスだ。
「アウトになるサーブミスならば、相手がそのボールをどうやって見送っていたかがわかるだけでも、次に打つ時の(決める、または崩すための)情報になります。相手がただ見送るだけだとわかっていたら、同じコースを狙う場合でも、100%ではなく70%の力のサーブでポイントになることが多くある。つまり、結果的にはサーブミスとなっても、次につながるミスもあるんです。
試合中はデータには出てこない、そういう見えない情報をいかに集めるかが重要なのですが、ネットにかかってしまうと情報は得られません。攻めた結果でネットにかかるのは仕方ないですが、(ジャンプ)フローターでネットにかかるのは、そのミスを次につなげるという面で少しもったいないですね」
どれだけサーブで攻められるか
ミスを恐れず、攻めろ。ただし、サーブはネットにかけるよりアウトのほうが、相手の反応がわかり、次につながるメリットもある。
つまり、サーブミスすべてが「悪」ではないということ。
世界王者のポーランドに対しても、サーブで狙うゾーン、ターゲット、意図を明確に攻め、先行されてもブレイクを重ねて追い上げた。結果的にストレートで敗れはしたが、24対26とデュースまで持ち込んだ第3セットの戦いぶりは、明らかにこれまでとは違った。敵将のフィタル・ヘイネン監督も「日本代表に敬意を送る」と賞賛するほどだった。
4戦で得た情報、積み上げた自信。すべてを力にいざ、イラン戦へ。序盤からどれだけサーブで攻められるかが、大一番のカギを握っている。