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スケボー初代金メダリストに 親友が明かす“堀米雄斗22歳の素顔”「富と名声も手にしても、常に謙遜している」
posted2021/07/25 17:02
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph by
JIJI PRESS
“押しも押されもせぬ日本の大エース”
我々に感動を与えてくれた金メダリストを形容するにしてはあまりにも陳腐な表現になってしまうが、堀米雄斗という選手を一言で表現するならばもっとも妥当な一言と言えるのではないだろうか。
今回のメダルだけに限らず、彼が今まで築いてきた数々の実績は、そう言っても余り有るほどだ。
大舞台でも全く物怖じした姿は一切なく、いつも通りの冷静沈着な淡々としたライディングで、見事ベストトリックで大逆転を果たしてくれた。あっさりとトリックをこなす様に、スケートボードは簡単なのか!? と感じてしまった人も多いだろう。
スケートボード界の若きレジェンド
単純に日本国内でのスポーツ選手としての知名度で言えば、先にスノーボードで結果を残しているスケートボード男子パーク日本代表の平野歩夢に軍配が上がるだろうが、堀米雄斗は、世界のスケートボードシーンにおいての知名度でそれを逆転するどころか、すでに本国アメリカシーンのド真ん中で活躍し、若きレジェンドとしての地位を不動のものとしている。
まだ22歳という年齢でありながら、ロサンゼルスに4LDKの戸建て(ガレージ付き)を購入し、裏庭にはスケートパークまで造っているというのだから、「アメリカンドリーム」を実現させた数少ない日本人であると言えるだろう。
もちろん過去にも本場のシーンでの活躍を夢見て幾多の日本人が挑戦してきたが、ここまでの成功を収めたスケートボーダーは彼以外に例がない。
ではその成功の秘密は一体どこにあるのだろうか。
親友が語る「彼の辞書には“諦める”という言葉がない」
幼馴染みであり、彼の影響でスケートボードを始めた同級生・松本崇は彼の人物像を次のように語る。
「彼の辞書には“諦める”という言葉がないんですよ。自分は父親よりも一緒にいたんじゃないかってくらい、彼とは同じ時間を過ごしてきましたし、それこそ数えきれないくらいのエピソードがあるんですが、練習の時はいつも念入りにひとつひとつのトリックをとことんやり込んでいましたね。しかもできるようになるまで絶対帰らない。一緒に滑っている仲間たちは疲れて、もう終わりかなという空気になっても『俺はまだ滑る!』って言って黙々と練習していました。そんなことが毎日のようにあったんです」