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体操の次世代エース 北園丈琉の進路が大学ではなく「徳洲会」の理由とは〈18歳で東京五輪個人総合5位〉
posted2021/07/29 11:02
text by
宝田将志Shoji Takarada
photograph by
AFLO
大阪市にある清風高校の体操場には、選手たちの練習を見守るように18枚の写真パネルが飾られている。
監物永三、具志堅幸司、田中光、池谷幸雄、西川大輔、米田功、鹿島丈博――。
写っているのは五輪に出場した14人の同高OBだ。
この歴史ある強豪校のエースが、1つの決断をした。北園丈琉。将来を嘱望される3年生は卒業後の進路として、実業団の徳洲会体操クラブを選んだのだ。
「人と違うチャレンジをすることに不安もあったし、何が一番いいのか、たくさん悩んで決めました」
8月8日の記者会見。納得の結論を出せたことをうかがわせる、明瞭な口調だった。
一般的な選択は日体大か順天堂大。
15歳から18歳を対象としたユース五輪の2018年ブエノスアイレス大会で、北園は個人総合と種目別床運動、つり輪、平行棒、鉄棒を制して史上初の5冠を達成。大阪出身のオールラウンダーは体操ニッポンの次代を担う逸材と目されるようになった。
そんな彼の今回の選択が殊更に注目を集めるのは、なぜか? 日本において、高校の男子トップ選手は大学に進学するのが一般的だからである。
日本体育大学と順天堂大学、この2校が大学体操界の「2強」と言っていい。'16年リオデジャネイロ五輪の団体総合金メダルメンバーを見てみると、内村航平と山室光史、白井健三は日体大、田中佑典と加藤凌平が順大の卒業生だ。
白井はリオ五輪当時、日体大の2年生だったし、加藤が'12年ロンドン五輪に初出場した時も、内村が'08年北京五輪に初出場した時も現役の学生だった。大学で力を伸ばし、世界の舞台に出ていく選手は少なくない。