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遠藤航に林大地、いや全員が…久保建英・堂安律だけじゃない“メキシコ戦のヒーローぶり” 次戦で森保監督は“温存”するか〈思い出すロシアW杯〉
posted2021/07/26 17:07
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
シーソーゲームが突如始まったのは、70分過ぎだった。
1-1だったスコアが90分を迎える頃には3-3となり、90+2分に勝負を決するゴールが、フランスに生まれた。7月25日に埼玉スタジアムで行われた第1試合のことである。
南アフリカを下したフランスは、これで1勝1敗の勝点3として、決勝トーナメント進出の望みを繋いだ。
この試合結果が日本に与えた影響は、決して少なくない。
「ここ(メキシコ戦)で確実に3ポイント(勝点3)を取らないと、(次のフランス戦は)かなり厳しい戦いを強いられるんじゃないか、ということは分かっていた」
キャプテンの吉田麻也は優勝候補と評されるメキシコ戦前の心境をこう振り返った。
その危機感がプラスに働いたのか、マイナスに作用したのかは定かでないが、第2試合の日本対メキシコ戦の序盤は、まるで第1試合の延長のようなスリリングな展開になった。
良くない入りを一変させた遠藤の力強さ
開始1分もしないうちに右サイドから突破を許し、あれよ、あれよという間にメキシコにゴール前まで攻め込まれてしまう。
「入りが良くなくて焦りましたね。あれ? って」と吉田は苦笑した。だが、ゲームの主導権は直後、日本がもぎ取った。
きっかけとなったのは、遠藤航の力強いプレーだ。
3分に左サイドで相手に囲まれながらボールをキープして振り切り、右のアウトサイドパスを相馬勇紀に通して最初のチャンスを呼び込んだ。
先制点が生まれたのは、その4分後。右サイドを突破した堂安律のマイナスのクロスに久保建英が飛び込み、左足のアウトサイドでネットを揺らす。
「相手DFと競っている状態でボールが来たので、あのままインサイドで合わせたらボールが右に流れてしまうと思ってアウトサイドで狙いました。ボールの軌道がマイナスだったので、そのままいい感じにファーに行くといいな、と思ってシュートしました」と自画自賛のファインゴールだった。