Jをめぐる冒険BACK NUMBER
遠藤航に林大地、いや全員が…久保建英・堂安律だけじゃない“メキシコ戦のヒーローぶり” 次戦で森保監督は“温存”するか〈思い出すロシアW杯〉
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2021/07/26 17:07
遠藤航らの活躍で強敵メキシコ相手に2-1。この勝利はさらなる自信になるはず
さらに12分、ペナルティエリア内で仕掛けた相馬がファウルを受け、VARによってPKを獲得する。これを堂安が「相手(GKギジェルモ・オチョア)が真ん中に立ったままなら相手の度胸勝ちだと思って、度胸試しのつもりで蹴った」と、ど真ん中に蹴り込んで2点を先取するのだ。
林大地のボールキープ、プレスで流れが
堂安と久保のダブルエースの活躍が脚光を浴びがちだが、この日はまさに"全員がヒーロー"というようなゲームだった。
まず見逃せないのが、1トップを務める林大地の働きだ。
久保の先制点の場面で、相手DFを引き連れてゴール前に飛び込み、久保のシュートスペースを作ったのが、ほかでもない林だった。
それだけでなく、ボール保持においては相手DFを背負ってボールをキープして攻撃の起点となり、ボール非保持ではプレッシングとプレスバックで相手の攻撃を限定する。林のいい意味でのガムシャラさが日本に流れを引き寄せているのは確かだろう。
この働きに森保一監督も「彼はこのチームに加わって非常に成長している。プレーの幅が広がっているし、レベルアップしてくれている」と賛辞を送る。
出色の出来だった遠藤、左サイドも機能
ボランチの遠藤も出色の出来だった。
前述したアウトサイドパスを皮切りに、中盤でカルロス・ロドリゲス(8番)やセバスティアン・コルドバ(17番)と丁々発止のバトルを繰り広げ、インターセプトから何度持ち運び、メキシコゴールに迫ったことか。遠藤が胸を張る。
「前回の南アフリカ戦は相手がブロックを敷いた中での戦いだったので、そこまで運動量が求められなかった。エネルギーを溜めていたわけではないけど、余裕があったので、この試合に懸ける思いは強かったし、意識的に行くところは行こうと思っていました」
一方、ゲームを優位に進めるうえでカギを握ったのが左サイドの選手たちである。
メキシコの10番、スピードとテクニックを兼ね備えた右ウイングのディエゴ・ライネスをどう抑えるか――。